novel

□空の下
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空は、こんなにも澄み渡っていて…

どこまでもつながっていて…

私とあなた、違う国にいるけど

あなたも、この空を眺めているのかなって

思う。

あなたと、つながっているんだなって

思って…いたいんだ。


    **


「ミミさん、……ミミさん?」

金髪に銀縁眼鏡をかけた青年がバルコニーに出っぱなしだったミミに声をかけた。

「…どうしたんですか?ミミさん。空をずっと眺めているだなんて」

風邪引いたら大変ですよ、とバティストは自分の着ていた白衣を薄い布地のドレスを着ているミミに着せた。

「バティスト様っ!!すみません私、気がつかなかったみたいで…」

「平気ですよ」

「……」

ミミはバティストの白衣をぎゅっ、と握りしめながら空を見上げた。

…人の暖かさって…空っぽな心にはこんなにも火傷しちゃいそうなくらい暖かいんだね…。

ミミはペッタンコな下腹を触る。

…ねぇ、エリック…。

もしも、あなたも私みたいに空っぽだったら

他の人の暖かさに頼っちゃいたくなる…?

エリックが他の女性に頼る姿を想像して目頭が熱くなる。

「…ミミさん?」

考えちゃ駄目だって、わかっているのに
ふと気がつけば、あなたが私の心を支配している…。

「…バティスト様…。私これじゃ、ダメですよね…?」

「…」

涙を必死に堪えているミミの姿を見れば誰を今、考え想像しているのかは一目瞭然だ。

離ればなれになってしまった恋人…
エーリヒ・アマディウス…いや、
エリック・セヴラン。

「…いいんですよ、ミミさんは女の子なんですし…。それに彼だって彼なりに頑張っているはずですよ」

頑張っているはずだ。

いや、頑張っていてもらっていなければ困る。

こっちは譲った身なのだから。

「…ありがとうございます。バティスト様…。だけど、もう少しだけ…このまま…。もう、バティスト様に迷惑かけませんから…」

「僕としてはミミさんに頼ってもらいたいんですよ」

バティストはミミを優しく抱きしめた。

「…ごめんなさい…バティスト様」

「謝らないで下さい。僕はしたくてしてるんですから」

エリック…。

私は沢山の人に支えられて今やっと立っています。

…これじゃダメよね?

エリックだって辛いはずだから…。
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