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あなたにとびきり甘い言葉を
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また今日も早く起きたから私は彼に会うために足は自然に動き始めた。










「あら、随分と早いお目覚めね」

「あまりにも早く起きちゃったからまた寝ようかと思ったけど眠気なんて襲ってこなかったの」


なんて、ただの口実。
彼…朱貴さんに少しでも早く会いたくて、顔が見たくていつからか私は早く起きるようになってしまった。
朱貴さんはいつも早く起きて私達の朝食を作っている。
朱貴さんの作る料理は女の私が思わず嫉妬してしまうくらいどれも凄く美味しいし尊敬もしている。

厨房のなかでてきぱきと朝食を作る彼をじー、と見ていた。
暫くのあいだ、見ていたらふと目が合ってしまった。
まずいと思い、目をすぐに逸らした。
ただ彼は一体、何を思ったのか朝食を作っていた手を止めて厨房から出てきた。




「どうして私を見ていたのかは分からないけど早く起きたからここに来たとか最近、そんなことばかり言うようになったね。
早く起きるのには何か理由でも出来たのかしら…?」


頬を凄く優しい手つきで撫でられた。
まるで壊れやすい繊細で美しい硝子細工を触れるような。
頬に熱が集まったような感覚がしたけど、どうか顔が赤くなっていませんように。

「顔、赤くなってる
本当に可愛い子ね」


やっぱり私の顔が赤くなっていたことを言われて逸らしていた目で朱貴さんの顔を見たら綺麗で優しい微笑を浮かべて私を見ていた。
鼓動が速くなる。
そしてまた、頬に熱が集まる感覚がした。
そしたら次の瞬間、いきなり優しく抱き締められた。
あまりにもいきなりなことだったからパニック状態になってしまった。

「しっ、ししし…っ!朱貴さん!?」

「やー…
ゴメンね、いきなりこんなことしちゃって
我慢なんて出来なかったから
誰よりもキミのことが大好きなの、扈三娘ちゃん」

嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちが混ざって朱貴さんの顔を見れそうになかったけど頑張って顔を上げ、朱貴さんの顔を見た。

「私も…朱貴さんのことが大好きです」


綺麗で優しい微笑を浮かべた顔で私の頬に触れるだけの優しいキスをしてくれた。


どうしよう…
今なら恥ずかしすぎて死んでしまいそうだけどそれ以上に嬉しくて大好きな人にキスをされて私はすごく幸せだった。














あなたにとびきり甘い言葉を送るわ













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