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※月光に照らされて
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急に睡魔に襲われた。
睡魔に襲われるのも無理はない。
朱貴はいつもより遅くまで起きていたのだから。

窓から見える真っ暗闇の空にあるのは光り輝く星と高い位置にまで上がり闇夜を照らす月。

目を閉じた。
あるのは闇。

このまま眠りに堕ちようとした矢先、意識が戻される。


「おい、起きろよ。」


聞き覚えのある声がした。
朱貴は重い瞼を上げると目の前によく見知った人物がいた。


「こんな夜遅くに何ですか……。」

戴宗、と力なく呟く。

「眠れねーからおたくのところに来たんだよ。」

「眠れなかったら黙って目を瞑ってれば良いでしょ?わざわざ私のところに来るなんて何か用事でもあるの?」

「んー?おたくを抱こうと思って。」


一瞬、朱貴の思考が止まった。
まだ子供なのに恥ずかしげもなく何故こんなことを言えるのだろうか。


「………いきなり何てことを言うの。私はそんな気分じゃないから、おやす…。」


溜め息混じりに言い、おやすみと言おうとしたら最後まで言えなかった。
戴宗にいきなり口づけられ朱貴は目を大きく見開き驚く。
そうしているうちに戴宗の舌に無理矢理、口を抉じ開けられ舌を絡ませられた。




「ん…ふぅ…はぁ…っ」


夜の静寂にいやらしく水音が響く。
否応にも自身の耳にいやらしい水音が聴こえてくる。
戴宗は角度を変え、更に深く朱貴に口づけをしてくる。
何とか抵抗をしようともしたが体に力が入らない。
まるで口づけられて力さえも奪われているのではないかと錯覚してしまう程に。
いったい、何処から覚えてくるのだろうか。
内側から溶けそうで全てを奪うような濃厚な口づけを。

戴宗は満足したのか朱貴の唇を解放した。
二人の間で銀糸が妖しく輝いていた。


「はぁ…はぁ……。」


長い間、口づけをされていたため肩を上下に動かせ呼吸をする。
目に涙を溜めて戴宗を睨み頬はほんのり赤く高揚していて濡れた唇の奥にある赤い舌。
月光に照らされた朱貴は酷く官能的で戴宗を誘ってるように見えた。
戴宗はそんな朱貴を見て口角を上げた。


「そんな目で睨んでも全然怖くねーよ?ホントはおたくも楽しんでたじゃんか。」

「楽しんでない…!」

「そんな目してると更にシちゃうよ?」


――良いの?


耳元で囁かれる。
朱貴はびくっと体を跳ね上げる。
その次の瞬間、耳に舌を這わせられた。


「あっ!やめっ…んあ!!」


戴宗は朱貴が耳に弱いことを知っている。
いや、弱いというよりも戴宗が開発したのだ。
何処をどうしたら朱貴が乱れるのかを。

朱貴の反応を見て楽しむ。
耳を時折、甘噛みしたり息を吹きかけたりしてみる。
口でなぶっていない、もう片方の耳は手を使い弄ぶ。
そうすると朱貴は更に甲高い声を上げる。
やめてだの聴こえてくるが戴宗はやめない。
朱貴の声は甘くて欲情に染まった戴宗を更に煽る。


「おたくの全部…声が、顔が俺を誘ってるんだよ。いい加減、気付けよ……朱貴。」




二人の行為は誰にも知られることはなく二人を月光が照らしていた。
いっそ、このままでいられたらいいのに。













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