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白雪深雪
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しんしんと音もなく雪が空から降ってくる。
降ってきた雪に触れれば儚く消えていく。
僅かながらも積もった雪に足を踏み入れたらほんの少しだけだが雪を踏みしれる感触を感じて足跡を見ると地面が見えていた。


「雪…今年も降り始めましたね。」

リクオが後ろを振り返ると氷麗が空から降ってくる白い雪を嬉しそうに見ていた。

「氷麗は雪女だもんね」

「はい。ですから雪は好きなんです。」


雪に触れると溶けずにそのままの形で氷麗の手に残った。


「前にね本とか教科書で雪の結晶を見たんだけど凄く綺麗だったから生で見てみたいって思ってさっき触ったらあっという間に消えちゃったんだ。
氷麗はやっぱり雪女だから雪には触ったりしても消えない?」

「はい。消えませんよ」

「じゃあ…ちょっと良いかな?」


リクオは氷麗の白くて細く華奢な手首を優しく掴んでみた。

「本当だ。消えてないね
それによく見たら結晶も見える。
氷麗も見てみなよ。凄く綺麗な結晶だよ…………どうしたの氷麗?」


結晶を見れたのか嬉しそうに微笑んでいたリクオは氷麗の顔を見ると頬を赤く染めていた。

「……氷麗?」

「すみません…!
えっと…つい、ぼーっとしてしまっていました……」

リクオに手首を掴まれ氷麗の心臓の鼓動は速くなった。
すぐにバレてしまうかもしれない口実を言い、自身の掌に乗った雪を見た。
だが胸の高鳴りは止むことは無かった。


「わぁ…こうして改めて見ると凄く綺麗ですね。」

氷麗は初雪が降る度に掌に雪を乗せて見ていたが今回は違う。
誰よりも愛しい人と見ていたからなのか前に見たときよりも雪は美しく綺麗に見えた。







「氷麗。」

「はい。」

「氷麗は僕が触った雪みたいに消えたりはしないよね?」

「勿論です。私はずっとリクオ様のお傍にいます。」













白雪深雪
(貴女はどうか消えないで)















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