Donacoj

□冥府の騎士道
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彼のそんな様子をさして気にも留めず、ミーノスは相変わらずの調子で話し続ける。

「いえ、ご機嫌伺いも大切な責務ですから、いくら会話が苦手とは言え、避けていれば悪い噂も立つと言うもの。

……あらぬ不安を抱かせるかも知れませんよ。」

「忠勤を励んでいると言うのに、謀反の疑いをかけられる謂れは無い。」


ラダマンティスは、これ以上の会話は不毛だと言わんばかりにミーノスに反論の隙を与えず、控えの間から主(あるじ)の宮へと通じる階段を足早に上って行った。


「…全く、これだから武官馬鹿は困ります。いい加減、自分の感情を素直に受け入れるが宜しいのに。

…まあ、似た者同士、お似合いと言えばそうですがね…」


ワイバーンが去った石段を見詰めながら、グリフォンは人を喰ったような笑いを浮かべると、鷹揚に廊下へと歩いて行った。

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