Donacoj
□無声歌
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−きっとわたし
霧に溶けて
なくなってしまうのだわ
そう取り留めも無く考えていると、俄かに強い風が巻き起こり、薄霧を吹き払った。
彼方から細々と 続く道が姿を現し、その道をこちらへと辿る者の姿を知らせる。
それは、男の子供だった。
利発そうな顔立ちのその子は、春麗の存在に、そして何より春麗の居場所に驚いたらしく、一目散に道を駆けて来る様子がみてとれた。
−ああ よかった
わたし 見つけられたのだわ
春麗は、そんな少年の姿に、思わず笑みを零した。―………
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