Librobreto UVerdaj tagoj

□home sweet home
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「ありがとう、二人とも。今、食事の準備をしている所だから、品物を貯蔵庫に置いて、手を洗ったら、食堂へどうぞ。」


麓の市場へ買い出しに行って来てくれた二人の少年達に、玄関先へ出てきた春麗が声をかけた。

そう言われた二人は蔵のある裏手へと回り、春麗は支度を続ける為に、再び母屋の奥へと引っ込んだ。









「―あの。」


突然掛けられた声に、一人で料理をしていた春麗はびっくりしてしまった。

厨房の出入口へと振り向くと、先程貯蔵庫へ荷物を納めに行った筈の少年の一人が、そこに立っていた。



「まあ、もう片付け終わってしまったのですね。ごめんなさい、あともう少しでお食事用意出来ますから。」

「…いや、その…紫龍が、倉庫は自分がやっておくから、先に戻っていてくれと。待つというのも手持ち無沙汰だし…何か手伝える事は無いかと…」




春麗はまたもびっくりしてしまった。



とても人懐こく、素直な瞬や、ぶっきらぼうではあるけれど、根は正直な星矢とは直ぐさま打ち解けたのだが、今、自分の目の前にいる、金髪碧眼の少年とは―


―何度か此処、五老峰に来ているにも係わらず、まともに話をした事がなかった為に、紫龍との会話の中に時々出て来る一輝と同じくらい、『もう少し近づきたい人』のまま、今この瞬間まで来てしまっていたのだった。

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