Librobreto UVerdaj tagoj

□ふたりでお茶を
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「―春麗さんは、紫龍のどんな所に惹かれたのですか?」







「―え?」


沙織の余りに唐突な質問に、春麗は即座にその内容を把握出来ず、お茶を注いだ状態のまま固まってしまった。



「あ、春麗さん、お茶が…」



「―え?あっ、御免なさい!」




気が付けば、落ち着いて楽しむにしては些か度を超してしまった量の茶が、更なる拡がりを求め器から出奔していた。







― …

「―あの…。」

「はい?」



寸時の卓上騒ぎも、春麗の手慣れた片付けで一段落した。


改めて煎れ直した二杯目の茶の、馥郁とした香りと、緩やかな螺旋を描いて立ちのぼる湯気。

二人の少女が向かい合って座る卓上は、とても穏やかな雰囲気に包まれていた。

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