Librobreto V

□闇中佳人
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―『神に近い者』は
所詮 神にはなれぬ









―『神の如き者』は
所詮 神ではない









―闇中佳人―














「何?姿を消した?」


サガは鋭く振り返ると、報告した銀髪の少年を見詰めた。


「ああ。小宇宙を断っていやがる。―こうなっちまうと、俺にはお手上げだ。」


滅多に見せる事が無い故に、たいていの者であれば竦み上がるに違いないサガの形相だったが、巨蟹宮の守護者―デスマスクにはたいした脅威にはならないと見え、切っ先のようなその視線にも無頓着だった。

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「とにかく、見つけ出さねば。」


「いい加減、放っておけよ。暫くしたら戻って来るだろうよ。」


腕組みをし、首の凝りを解す様な仕草をするデスマスクは、これで終わりにしたいと言わんばかりだった。

彼の態度をよそに、サガは失踪者の小宇宙の痕跡を捜すべく、精神を集中し始めた。

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