Librobreto V

□彼者誰時奇譚
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―夜もまだ明け切らぬ
薄明の下


寝ずの散策の締め括りに

今日と言う一日が

闇という
その重々しい鎧を
脱ぎ棄て

朝という
軽やかな薄衣を纏う

その刹那に会せんと

霧の隠れ蓑に
甘んじる




.
ゆうべ
つつましやかな
光のなかで

あなたが話してくれた
数々の話が―


―星々の伝説
神々の逸話
人々の悲喜劇―


あなたの
心地良い声音で語られた
それらが



漲る光に
包まれようとする
今に
呼応するかの様に

私の胸に
思い起こされる

.
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