Librobreto V
□黄昏時奇譚
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―細く 長く
伸びる影が 三つ
あれは
何処からかの
帰り道
元気良く
一番先を進む影は
アイオリアのものだ
負けん気の強さは
影にも乗り移るのだな
今にも
主から離れ
跳びはねかねぬ程の
力強さを感じる
無邪気な無謀さを持つ
小さな影の
その直ぐ後ろに
見守る様に
ついて行くのは
アイオロスの影
可愛い弟に注ぐ愛情が
そっくりそのまま
浮き彫りになったようだ
その行進の殿りを務める
もう一つの小さな影―
―幼い頃の私の影だ
.
慣れぬ地
慣れぬ風
慣れぬ水
慣れぬ
人との触れ合い
私が今までいた地との
余りの違いに
戸惑う私の
化身
先の二つの影から
行き遅れた
私の影
.