Librobreto V
□神話的情景(ラダパン)
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遠い 遠い
昔のことです
この地に
一頭の翼竜がいました
触れるもの全てを
切り裂きそうな
爪と
金剛石をも砕きそうな牙
竜巻を巻き起こしそうな翼を持つ
この翼竜は
その姿形だけで
皆から恐れられ
忌み嫌われていました
この地には
あんまり辛い事が
多過ぎると
翼竜は
この地を憎むようになりました
.
そんな折
翼竜は
一柱の神様に逢いました
その強さに圧倒された翼竜は
この神様に仕えようと
決めました
この神様は
冥府の国を治める
神様でした
時々 むごい事も
しましたが
翼竜は
この神様が
大好きでした
.
さて
冥府の神様の傍らには
いつも
娘が一人
控えていました
大層美しい娘でしたが
とても気高い方でしたから
なにものをも
近寄らせませんでした
.
ただ
ほんの時折
どういうわけか
気まぐれのように
翼竜の胸に
飛び込んで来る事がありました
傷をつけては大変と
抱き返す事は
叶いませんでしたが
翼竜は
何故だかそれが
とても嬉しかったのでした
.