Donacoj

□それは決して 神話ではなく
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太陽があんなに高い

あの泉に
足を浸すには
うってつけの日なのに


女官の目を盗もうにも…


今日という一日を
神殿の中で

灰色に塗り潰して
過ごさなければ
ならないのかしら




―…アテナ…




―誰?…この小宇宙は…






「アテナ!」


「―ペガサス!」





「―…退屈で死にそうって顔している」


「…そんな事より、一体どうやって寝所まで…」


「何処までも、何処へでも、自由気儘にはばたくペガサスだから」







そうしていつも
私をからかって
面白がる不敬者








「―さあ、参りましょう。―御手を」


「…何処へ?」


「あなたが笑顔になる処なら、何処へでも」




―ああ
心穏やかに安らかに満ち溢れ

まばたきの刹那ほどの不安と

月蝕最後の光が
瞳に溶ける
瞬間のほどの切なさ


―こんな“愛おしさ”があるなど―






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