++ 展示U ++
□黄昏に会いましょう
1ページ/4ページ
仕事が終わり、今は黄昏。
一日中書類と睨み合い、座りっぱなしだったため、体を動かすと音が鳴りそうだ。
今日は目立った抗争はなく、自分が出るまでもなく解決した問題が2、3件。
変わりがないのはいいことなのだが、こうも動かない日が続くと、腕がなまってしまう気がする。
黄昏に会いましょう
「恭弥」
自分しかいない部屋で、もう何ヶ月も逢っていない愛しい者の名を呟いてみた。
必要最低限のものしか置いていない執務室に、その言葉は空しく消えていく。
今頃何をしているのか。
逢えないことは間々あることなのだが、この喪失感はいつまでも付きまとう。
雲の守護者を体現した雲雀恭弥と言う男は、ボスである沢田綱吉にすら自ら連絡することは殆どなく、本部に報告に来るなど、ほぼない。
しかし、キャバッローネとは頻繁に連絡しあっている、と言う話が実しやかに囁かれている。
雲雀恭弥に会いたければ、ドン・ボンゴレよりドン・キャバッローネに頼むほうが早い、とまで言われる始末。
実際は、そんなことでディーノが雲雀に連絡を取ったことは一度もない。
直通の連絡先は教えられてはいるが、専ら私事に用いられている。
その繋がりですら、ここ一ヶ月は切れている。
雲雀に限ってないとは思うが、何かあったんじゃないかと思ってしまう。
携帯電話を見詰めても、恋人からの着信は来た様子がない。
「・・・浮気してやろうかな」
椅子に背凭れに体を預けつつ、疲れがかなりのところまできていたためか、普段なら口にしないようなことを口走っていた。
背後の気配にも気付かずに・・・。
.