++ 展示U ++

□黄昏に会いましょう
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仕事が終わり、今は黄昏。



一日中書類と睨み合い、座りっぱなしだったため、体を動かすと音が鳴りそうだ。


今日は目立った抗争はなく、自分が出るまでもなく解決した問題が2、3件。

変わりがないのはいいことなのだが、こうも動かない日が続くと、腕がなまってしまう気がする。







黄昏に会いましょう







「恭弥」


自分しかいない部屋で、もう何ヶ月も逢っていない愛しい者の名を呟いてみた。

必要最低限のものしか置いていない執務室に、その言葉は空しく消えていく。


今頃何をしているのか。


逢えないことは間々あることなのだが、この喪失感はいつまでも付きまとう。


雲の守護者を体現した雲雀恭弥と言う男は、ボスである沢田綱吉にすら自ら連絡することは殆どなく、本部に報告に来るなど、ほぼない。

しかし、キャバッローネとは頻繁に連絡しあっている、と言う話が実しやかに囁かれている。

雲雀恭弥に会いたければ、ドン・ボンゴレよりドン・キャバッローネに頼むほうが早い、とまで言われる始末。


実際は、そんなことでディーノが雲雀に連絡を取ったことは一度もない。

直通の連絡先は教えられてはいるが、専ら私事に用いられている。

その繋がりですら、ここ一ヶ月は切れている。

雲雀に限ってないとは思うが、何かあったんじゃないかと思ってしまう。



携帯電話を見詰めても、恋人からの着信は来た様子がない。


「・・・浮気してやろうかな」


椅子に背凭れに体を預けつつ、疲れがかなりのところまできていたためか、普段なら口にしないようなことを口走っていた。

背後の気配にも気付かずに・・・。


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