++ 展示T ++

□Ennui
1ページ/3ページ


ベットに仰向けに転がり、まどろんでいた仁王は、そのベットの縁を背もたれにして本を読む柳生に目を向ける。


「のぉ、柳生」

「なんです」


返事はするものの、柳生は本から目を離そうとはしない。

仁王は俯せになると、柳生の背後にズルズルとにじり寄る。

そして目に入ったのは、襟足の間から僅かに覗く項。

おもむろに腕を上げ、人差し指でつーっと触れる。


「――っ、何を…!」


案の定、反応を見せて後ろを振り返り、文句を言おうとした柳生。








一瞬何が起こったか理解できなかった柳生だが、唇に感じた感触で、掠め取るようにキスをされたのだとわかった。

柳生を呆けさせた張本人は、目に捉えた時には、すでに何もなかったかのように伏せていた。

その様子に呆れながらも、手にしていた本に栞をはさみ、ガラステーブルに置く。

その間も仁王はぴくりとも動かない。


「どうしたんです?」


ベットの縁に座り、片手をついた柳生の問いに対し、突っ伏したままもごもごと何か言っているようだが、聞き取れない。


「仁王君?」


今度は名前を呼んでみると、顔だけ上げて柳生を見上げる。

.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ