小説

□もしも二人が出会ってすぐ結婚したら 〜プロポーズ編〜
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「アーカードッ!!!」

ある日突然のことだった。
その日何故か、主自らが慌てた様子で下僕を探し回っていたのだ。
まだ正午を過ぎたばかり。
天気は晴れ。
吸血鬼にとっては気だる日和である。


「アーカード!いないのか!!」
「−−−・・・何だ」
怒鳴るようにもう一度インテグラが叫ぶと、思いっきり寝起き状態のまま壁からぬぅっとアーカードが現れる。
眠そうな下僕をよそに、インテグラは更に大声で言った。

「アーカード大変だ!アンデルセンが・・・−−−!!」
「アンデルセン?」

その名前に反応し、眠た気だった瞼がぱちりと開く。
アンデルセンといえば、ついこの前初戦を交えたばかりの再生者の男。碧色の真っすぐな目をした、あの強い人間か。

そう思うと同時に。


「アーカードォォッ!!!」
ほとんどドアを破壊しながら宿敵アレクサンド・アンデルセンが登場。
なんで押しかけて来たのか理由は知らないが、やっと見つけられた御敵の顔を再び見れたことを素直に喜んでアーカードは笑う。

インテグラは護身用に持ち出して来たらしい剣に手をかけながら舌打ちした。
「くそっ、もうこんな所まで・・・ッ!」
「そこをどけェベイベロン!!俺が用があるのはその吸血鬼だ!!!」

眉間に皺を寄せながらも渋々とそこを下がって、インテグラはアーカードを見上げた。

下僕は嬉しそうな笑みのまま、首をことりと傾けて敵に問いかける。
「真ッ昼間から騒々しい事だ。私に何か用かね?」

アンデルセンは至極真面目に「その通りだ」、と返した。
バヨネットを手に持たぬ所を見て戦意はない訳か。
心中を計りかねて、アーカードはすぅと目を細くする。



その神父の様子があまりにも真剣だったものだから、まさか次の瞬間あんな事を言われるとは思っていなかったのだ。





「好きだ!!アーカード!俺と結婚しよう!!!」











「−−−−−・・・はい?」




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