小説
□好きというキズ
1ページ/2ページ
僕はきっと、貴方の事を好きになってはいけないんですね。
僕は、これ以上あなたを傷つけたくない。
…だけど、好きなんです。
「ごめんなさい。僕は、貴方を傷つけてしまった。だから…僕は貴方のそばにいない方がいいんです。」
「…骸。謝らなくて、いいんだよ。それに、君は僕のそばにいていいんだ。」
貴方は優しい。それゆえに、傷つきやすい。
「ダメなんです。僕は、これ以上貴方が傷つくのを見たくない。」
「僕は大丈夫だから。…そばにいてよ。僕は、骸のそばにいたい。ずっと。」
ほら。また僕は、貴方を傷つけてしまった…
「僕も、貴方のそばにいたいです。…でも、貴方をどうしても傷つけてしまう。どうすればいいんでしょうか。」
どうすれば…
貴方の悲しい顔を見ずにすむのですか?
誰か教えて下さい。
「…僕だけが、傷ついているわけじゃないよ。」
「それは…どういう意味ですか?」
分からない。
あなた以外に誰が傷ついているのですか?
「分からないのかい?君だよ。君も傷ついているじゃないか。」
僕が?
なぜ傷つくのです?貴方を傷つけているだけなのに…
「何時、僕が傷つきました?」
「…今も傷ついているじゃないか。」
今?
何の事?
「どうしてですか?」
「…泣いているじゃないか。」
「なぜ…僕は泣いて…?」
ポロポロ
拭いても拭いても止まらない。
なぜこんなにも胸が苦しいのでしょう。
「僕が傷つくたび、君も傷ついているからだよ。」
身勝手です。
…そんなの。
「僕はなんて身勝手なんでしょう。貴方を傷つけて…」
「それは違うよ。君は、身勝手なんかじゃない。…優しいんだよ。」
優しい?
…僕が?
「嘘です。そんなの…」
「嘘じゃないよ。優しいから、君は泣くんだよ。」
優しいかったら、きっと貴方を傷つけてませんよ。
「それに、人を好きになるってそういう物なんじゃない?傷つけて、傷ついて。それでもきっと、幸せな時があるから、人間は好きな人のそばにずっといるんじゃないかな。」
「…いいのでしょうか。僕が、貴方と一緒にいて。」
「いいんだよ。僕は、ずっと君のそばにいたい。君とこうしてずっと話をして、幸せでいたい。」
「傷ついても…ですか?」
「うん。僕には、君しかいないんだ。いくら傷ついても、僕は君のそばにいたい。」
あぁ。
貴方は、なんて優しいんでしょう。
まるで、
心の闇を溶かしてくれる太陽のように。
「僕も、ずっと貴方のそばにいたいです。僕にとって、貴方は太陽のような存在なんです。なくてはならない、大切な。」
僕の涙はいつの間にか止まっていて、笑顔に変わっていた。
まるで、雨が止んで晴れ間がさしたように。
「僕が太陽か。フフッ。悪くないね。じゃあ君は…花かな?僕は君の花のような笑顔が好き。いや、君の全部が好きだよ。」
「僕も、貴方の太陽のように暖かい優しさも、貴方のすべてが好きです。」
いつまでこの幸せが続くかなんて分かりません。
けれど、
貴方といる今を精一杯幸せな時に変えましょう。
たとえ
どんな事があっても、貴方と二人で乗り越えていきます。
きっと貴方となら、
どんな壁も乗り越えられるはずですから。
end.
あとがき→