帽子屋と3月兎と眠り鼠(芳)



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『お茶もお菓子もないじゃない!』

アリスはたまらず、立ち上がって叫びます。
茶色い兎が慌てて口元に人差し指を当てました。

『静かに!ウチの眠り姫が起きちゃう』

『眠り姫?』

兎の視線の先を見ると、帽子をかぶった青年の膝の上ですぅすぅと眠っている鼠がいました。

『ご…ごめんなさい』

アリスは謝ります。
けれども、この異様な空間にはいたくありません。

『じゃあ、これで失礼します』

さっさと席を外しました。その後ろから、小さな声音が聞こえました。

『また…き…てね…アリ…ス』

そう呟くとまた、すぅすぅと寝息が聞こえました。
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