不思議の国の女王2(芳)



<< *< ># >>

美しい、金の髪が揺れていて。
吸い込まれそうな、ブルーサファイアの瞳は愉しげに緩んでいて。
むせかえる程の薔薇香りに酔わされそうで。
キラリと光った、銀の刃に気付くのが、遅れてしまいました。

『……きゃッ!』

鼻の先を、冷たい刃がかすめました。
猫が咄嗟に腕を引いてくれたおかげで、怪我をせずに済みました。

『猫、邪魔をしないで』

先程までは持ってなかった大鎌を、くるりと回して呟きました。

『可愛いわたくしのアリス。あなたの首を、わたくしにちょうだい?』

『僕のアリスはあげないよ』

猫は、アリスを抱き抱えると、現れた時と同様に煙のように消えていきました。
フォトを友達に送る

[戻る]



©フォレストページ