* tearS *
□海辺
2ページ/3ページ
ゆらめく蜃気楼
遠く、波が防波堤にぶつかって消えてく。
そして日差しに焦がれて。
寄せては返す白い波。
柔らかな頬。
裸の腕に抱いて、体温と鼓動を肌で感じた。
ここには、熱い血と熱い太陽と熱いカラダがあったのに。
君が居たなら…
あした自分がどうなったっていい。
ピークを過ぎ人出が少なくなった砂浜はさみしく波の音がしているだけで、ほかには何もない −
空と 海と 陽射しのなかで。
『こっち…来て?ほら…ユキ…?』
君が呼ぶから −
ねえ どこまでいったら いいの?
どこまでいったら 君に逢えるの?
波が顔にあたる。
息が出来ない。でも、君が呼んでる …−
やがて、声は波に飲まれて夏の陽射しに消えた。
幾ら歳月が過ぎても この記憶が刻まれ続けるのなら。
こんな記憶は もう要らない。
僕は眩しすぎる日差しと、碧い海に溶けていった −
一瞬、君があの日のまま、無邪気に微笑んでくれた気がして −
これで 僕らは 永遠に一緒だね −
- 海辺 -
FiN...
L'Arc〜en〜Ciel
アルバム「KISS」より"海辺"