LONG fast

□MP:8 スタート新生活
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なにがともあれ、和解できたのなら良かった良かった
好きな子に嫌われ続ける事ほど辛い事なんてないから



「あの…大丈夫ですか柊さん」
「あ、加水さん」
「動かないでくださいね、今ロープ外しますから」

柊が気絶してる以上魔法解除は望めない
だったら凛がどうにかしなくては、とプレートをかざす

「『妖刀村雨』」

瞬時に現れる日本刀
それにビクリと肩を震わせる愛花
魔法とはいえ刀突き付けられたら誰だってそーだ

「大丈夫ですよ。『妖刀村雨』は斬りたいもの以外は斬りませんから」
「あ、そーなんだ」

ほっとした様子で息をつく愛花
未だ下敷きになってる九澄は目覚める気配はない
起きてりゃこれ以上の幸せはないだろーに

スパンッ

刀は確かに2人を切ったというのに、
切れたのは縄だけだった
同時に柊の魔法も強制的に魔法解除される

「立てますか」
「大丈夫、ありがとう」
「愛花ー無事かー!?」

下の方から駆けよって来る三国と乾
ひょっこりと顔を見せれば安心したように二人が笑った

「久美!ミッチョン」
「大丈夫?」
「うん!九澄くんが助けてくれたから」

三国に手伝ってもらいながら通路から降りる愛花
先程までの経緯を簡単に話すと

「そっか、加水さん、ありがとな」
「あ、いえ…柊さんに怪我がなくてよかったです」

九澄を起こそうと揺さぶっていた凛だったが三国に名前を呼ばれて下を見た
いつもの3人組がこちらを見上げてる

…だが、三国の表情は少しばかり不服そうだった
その表情にビクリとする凛

「あ、ご、ごめんなさい。わたし何か気に障る事言いました?」
「んー…そうじゃないんだが」

くしゃりと頭をかく三国

「敬語、やめないか?私らタメだろ」
「…いいんですか?」
「当たり前だよ!それに、折角友達になれたんだから凛ちゃんって呼びたいな」
「私達も名前で呼んでほしいし」

(友達…高校入って初めてできた)

伊勢聡史は友達とは言い難いし
肩を震わせて俯く凛
焦ったのは愛花達の方だった

「ご、ごめん!嫌だった?」
「違うの!!嬉しくて…ありがとう」

ほんの少しだけ涙を浮かべながらとびっきりの笑顔を見せる凛に、
3人が顔をほんのり赤く染めた

(び、びっくりした)
(加水さ…凛ちゃんって)
(可愛い…)
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