LONG fast

□MP:11 強奪バッカー
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「清廉なる水辺の乙女(ウンディーネ) 轟く母なる大地の主(ノーム)」

全身が水で出来た妖精のような女性と、どこかもぐらを彷彿させる不思議な生き物
その2対が凛の思うままに動き出す

(もう6日目、かぁ)

探しても意味はないと分かっている
だけどそうせずにはいられなかった

「あの九澄が退学なんだって?」
「聞いた聞いた」
「プレート失くしちまったんだってな」
「プールの排水溝から速効流れてったらしーぜ」
「ウハッマジ?」
「先生が魔法で捜せなかったそーだからもう学校の敷地内にはないんだろーなァ」
「ゴールドプレートなのにもったいね」

それもこれも、プレート強奪魔の事件のお陰
もう捜しても無駄だろうとは思いつつも何もしないではいられなかった

「今日が最後なんて…そんなの絶対嫌」

思い出すのは校長室での会話




「プレートを紛失し7日間見つからなき場合生徒は本校籍を失うものとする。校則3条第9項
 九澄くん。あなたはプレートがどれだけ大事なものか理解が足りなかったようですね」

まったく、とんでもない事態になってしまった
プレート強奪魔は即刻退学になったけれどそんな事こっちにはどうでもいい
それよりも九澄のプレートが見つからないと彼までもが退学になってしまうのだ

「先生が捜してもないって事はないのかなぁ…」
「オイ」
「でもこのまま退学じゃ…」
「オイ」
「どーにかならないかなぁ」
「聞けよ!!」
「きゃああっ!!」

以前にも似たような事があったような…
いきなり肩を掴まれて飛び上がる凛
視界に金茶色の髪が入った

「あ、伊勢くんのお兄さん」
「何だその不快な呼び方は。つかテメーさっきから何度呼んでも無視しやがって」
「すみません。ちょっと考え事してて」

あははと苦笑する
そう言えばこの人は校内で九澄を除く唯一凛が普通に話せる相手かもしれない
向こうがあんまり遠慮ないもんだからこっちも遠慮がなくなってるだけなのかもしれないが

「アイツのプレートか?」
「2年でももう話題になってるんですねー」
「大事件だろ」

ですよねぇ、と息をつく凛
ウンディーネとノームを魔法解除し、プレートを握りしめる

もう最終日の夕方
太陽は随分沈みかけていた
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