LONG fast

□MP:11 強奪バッカー
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「も、もう大丈夫かな?」

必死だったからどこを走って来たのかなんて覚えていない
ただここは1−Fの教室の前のようだ

「あれ?加水?」
「え?あ、えっと…」
「大門高彦。この間…と言っても結構前か。図書館で挨拶したよね」
「あ、うん……」

そうだった
忘れてた、なんて言えないしだからってにこやかに会話だなんて性格上出来ないし
どうしようと固まっていた所

「おい、人が話してんのに反応なしかよ」

ビクゥッ

教室からぬうっと出て来た体格のいい男子生徒
で、でかい
大門と並ぶと余計にでかく感じる

「聞いてんのかよ」

声もでかいし上から怒鳴られてはビビるしかないだろう
うう、とスカートを握りしめる凛

(ヤバイ、怖い…)

するとそこに救いの声が

「ちょっと小石川。何女の子怖がらせてんのよ。これだから男ってのは嫌なのよ」
「観月!」
「あなた大丈夫?こんな奴らといたら怖いわよね、早く教室戻った方がいいわよ」

つかつかとやって来たのは愛花より少し短いくらいのストレートヘアの女子生徒
小石川と呼ばれた男子から庇うように凛の前に立つ

「あ…」
「大丈夫?」
「はい」

良かった、と二コリと笑う彼女
見た目はキツイが中身はいい子のようだ
ようやく安心する凛

「ありがとう…」
「どういたしまして。教室戻るんなら最近プレート強奪魔がいるらしいから気をつけてね」

(プレート強奪魔…?そんな人がいるのか。面倒な事にならなければいいけど)

そんな凛の願いはむなしくも届かなかったけれど
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