LONG fast

□MP:10 レッツ魔法
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「ダメだー少しくらいなら浮くけど10sは重すぎだぜ」
「30秒静止ってキビしくない?」

真剣な表情で岩を浮かそうとする生徒達
既にやる事がなくなった九澄と凛はそれを黙って見学しているだけだった

「ねぇ九澄くんってば、聞いてる?」

あーあ彼の何とも幸せそうな顔
まったくもー、と呆れつつ彼らから離れた。あまり邪魔するのも気が引ける
と思ったのだが…

「凛ちゃんも」
「あ、うん。どうしたの?」
「伊勢くん以外はみんな今回の課題に合った魔法持っていないみたいなのよ。やっぱ新しい魔法入力した方がいいかなって」

愛花の顔にほわわんととろけていた九澄
よーやく我に返って改めて全員の得意魔法を尋ねてみた

「自由選択の魔法は色々あるけど個々の性質と相性のいい魔法を選ぶのが基本だからな」

そう言いつつ自分の頭に着けていたヘアピンを外す三国
あっという間に大きくなって竹刀並の大きさになった

「私は機能増加型(パワーアップ)が合うんで物の大きさやパワーをあげる魔法をいくつか」
「俺は物を磁石化する魔法しかまだ使えないんだ。ま、今回はうまく使えそーでラッキーだけど」

どこから持って来たのか鉄パイプと磁石化した岩をひっつける伊勢
これなら30秒静止も余裕だろう

「操作型(コントロール)使い慣れてるのはこのコで他人を少し操作する魔法(要・対象の髪の毛)」

と言いつつ何だか不気味な人形で九澄を動かす乾
一体いつの間に彼の髪を採取したのだろう…

「私はアレを除くとイメージ型?視覚的な変化を作る魔法が好き」
「(アレ…ね)」

花柄の木を作る愛花
アレ…とは声振砲のことしかないだろう。ま、あれは柊に無理矢理入力させられたものだが
そう言えば…

「凛は?」
「わたしは自然操作系が好きみたい。風や大地を操ったり、炎を生み出したりね」

そう言って手の平から火の玉を作りだす凛
九澄が以前柊に屋上に引っ張られた時も風を使って彼女も跳躍していた

「ま、たしかに今回の課題に向きのはないカンジかな」
「なのよね」
「じゃあ女子3人は新魔法入力しよ?のんびりしてると詠唱する時間なくなるよ」

パラパラと頁を捲り始める乾
三国の超漢らしい詠唱の様とか、なんか黒魔術でも使いそうな乾の様子とかを見ていた九澄だったが
焦ったように肩を叩く伊勢につられて愛花の方を見た

「あーん詠唱って苦手。クチ回んないんだもん」

ガッ

(あ、やっちゃった。大丈夫かな)

舌を噛むのは凛も以前は日常茶飯事だった
あれは痛いよね、と一人頷く

「イヒャーイヒハハンヒャッヒャ(いたーい舌噛んじゃった)。ヒュハラヒライハフハヒ(だから嫌い)」

うん、正直…

物凄く可愛い

「やべー…ツ…ツボに…」

ばくんばくんと今にも飛び出しそうな心臓を抑えて悶絶する九澄
あれには九澄じゃなくても、と頷く伊勢

だけど実際困っているのもまた事実

「愛花ちゃ…」
「…ひ、柊。うまくいってねーのか?」
「(大賀…)」

(…わたしの出る幕はないかな)

何となく寂しいけど
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