LONG fast
□MP:8 スタート新生活
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「ねみー。柊(父)のやろーこんな朝から何だってんだ」
「確かに眠いー」
現在の時刻、AM6:00
自宅が遠い二人にとってはかなりの早起きを強いられた
半分寝ながら校舎前で立ち尽くす
だがふと昨日の事を思い出してにやける九澄
「はーもう一回グルグル巻きでドキドキしてーよなァ」
「あははもう大賀ってば…って大賀ー!?」
「だぁああーーー!!!」
ホントにグルグル巻きになって飛んでく九澄
ぼーぜんとする凛だったが慌てて追いかけた
「出でよ!誇り高き風の女神(シルフ)!」
ゴールドプレートはあっという間に風に包まれ、代わりに一人の緑の髪の女性が現れる
彼女が二コリと凛に微笑めば、あっという間に彼女を宙へと浮かせた
あとは意のままに、屋上へと飛ぶだけ
「あれ?柊先生。おはようございます」
「ああ。まったく…九澄と従兄とは思えんな。少しは九澄も加水を見習え」
なるほど、先程九澄を屋上へと引っ張り上げたのは彼だったのか
「で?朝っぱらから何だよ。特別授業とかじゃないだろーな」
「ほう。さっしがいいな」
「いっマジで?」
なるほど、それで朝から呼び出したのか
ゴールドプレートの生徒が教師と一緒に魔法の練習なんて普通あり得ない
「1年もそろそろ本格的に魔法の授業に入る。一か月先の魔法力試験いかんでは退学させられる事もありうるし、生徒達も目の色を変えてくる
そんな中お前が一度も魔法を使わず過ごす事は難しくなってくると思ってな」
「もしや俺ついに魔法デビュー?」
「それはムリだと校長も言ってただろ〜がタワケ!!」
ドス、と突き刺さる柊の言葉
だが退学という言葉が重くのしかかるのは凛も同じ
しかし一応は進学校だというのに魔法だけで退学だなんて結構横暴だな
「お前が魔法を使ってるように見える工夫をしよーってんだ。つまりは実際の魔法は俺や加水が操りお前は小芝居で人の目をゴマかすって事だな」
「なるほど面白いかも。俺の身振りに合わせてあんたが『下僕』になって魔法を使うと」
ああもう、だから一々余計な事言わなきゃいいのに
九澄の顔を片手でギリギリと絞めつける柊
「表現を間違えたな?言い直せ」
「ポチ」
「言い直せ」
「タロ…ジロ…ラッシ…」
ミシッ
「きゃー大賀!!」
ミシッて、今ミシッて…!!