LONG fast

□MP:27 水辺の天使
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「やだなー私ちょっと太ったんだよね」
「久美はいいよねースタイルいいしさー」

教室に入っても誰もかれもこんな会話ばかり
皆今日のプール開きにそれぞれの想いがあるのだろう
別に水泳が好きでも嫌いでもない九澄。特に何も考える事はなかった
あ、でも涼しい事はいいかもしれない

「大賀。さっき支部長にあってね、今日放課後ミーティングするから部室に来てくれって」
「ん、わかった。…つーかお前支部長と会話できんの?」
「少しずつ慣れて来たよ」

以前はかなり苦手だったけど、と笑う凛
永井もあの人見知りなだけあって間に九澄を挟まないとまともな会話もままならなかったのだ
成長したなァ、とまるで娘の成長を喜ぶ父親の気分になった

「席つけー。HR始めるぞー」

ガラ、と扉が開く音がして柊が日誌片手に入って来る
それまで騒がしかった教室は一気に静まり返った

「えー今日の体育はプールだが欠席する生徒は予め届を出しておくように。長期見学の奴はいらんがな」

男子は水着を忘れたとか、体調が悪いとかぐらいしかないけれど
女子はどうしてもプールに入れない日があるものだ
全員が「はーい」を返事をして朝のSHRは終了

1時間目から早速体育だ

それぞれ水着が入っているであろうバッグを持って更衣室へと向かう
わいわいとそれはもう楽しそうに

九澄も例にもれず男子更衣室で着替えを始めていたのだが…

「くぉぉー!!とうとうこの時がきた…」
「分かるぜ伊勢!もうどんだけ待ちわびた事か」

アホらしい、と背後で交わされる伊勢と堤本の会話を聞き流す
誰の胸がでかいだの、誰の腰が細いだのとまぁそんなのばっか

本当、馬鹿馬鹿しい
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