LONG fast

□MP:19 スケボー暴れて地固まる
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愛花の透明化が魔法解除されたのでスケボーも元に戻っていた
ただ暴走しているのは変わらないので相変わらず試験場内を滑走している

(どーにかしてアレ捕まえられないかなぁ)

うーんと唸る凛
やっぱりここは無難にシルフに捕まえてもらうべきだろうか

「加水さん」
「うにゃあああ!!」

またしてもこのパターン
もういい加減何度めだろうと自分に突っ込んだ
後ろにはクラスの男子

「あ、えっと…影沼、くん」
「うん。驚かせてごめん」
「ううん。こっちこそごめんなさい」

話した事のない男子との会話に緊張するけれども
目の前の影沼には不思議と恐怖とかそう言ったものは一切感じなかった

「どうしようか、試験」
「すっかり忘れられてるもんね。第一ここ使えないし…とりあえずスケボー止めなきゃね
 誇り高き風の女神(シルフ)」

凛がプレートを投げれば緑の髪の女性が現れる
彼女は二コリと2人に笑いかけるとふわりと飛んであっさりとスケボーを風で包み込んで捕獲した

「ありがとう」

そう言うと風とともに消え去る彼女
ゴールドクラスの魔法に呆然とする影沼

「よし、あとは…」

スケボーを片手で掴んでもう片方の手をかざすとみるみる内にスケボーが直っていく
同時に津川のと思われるRIプレートが飛び出てタイヤの暴走も止まった

「これでよし」
「…凄いね」
「ありがとう。でも…
 本当はもっと早く言いだしてれば津川くんも愛花ちゃんも怪我しないですんだんだよね
 ましてや津川くんなんて減点されちゃったしさ…ほんとわたしってこの性格のせいで、いや性格は自分のせいなんだけどさ
 自分から話しかける事さえできればこんなことには…」

ネガティブモード全開の凛に流石の影沼もどうすればいいのか分からなくなってしまった
はぁぁ、と大きな溜息をつく彼女

「試験前に直しておけばよかったんだよね…」
「加水さん」
「?」

どんどん深みへとはまっていく凛を見ていられなかった

「津川はそんな事で怒るような人じゃ…ないと思うよ」
「…そうかな……わたし、保健室行ってくる!」

スケボーを抱えて保健室へと行こうと踏み出す凛だったが、
くるりと踵を返して影沼の方を振り返った

「あ、あの……」
「俺もついていこうか?」

パァァ、とあからさまな笑顔
コクコクと必死に頷く様に苦笑した

(よかったー、一人じゃやっぱ不安だったんだもん)

胸をなでおろす凛だったが、
影沼も話すのは初めてという事をすっかり失念しているようだった
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