LONG fast

□MP:17 リアル鬼ごっこ
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「わたしは大丈夫だから久美ちゃん達は自分の半身を!」
「大丈夫か?」
「うん!」

あの後呼び出した伊勢Aと乾Aにこの場を任せて自分の半身を追う凛
とにかく逃げる。走りまくる
自分の性格上バトルとかそういうのは避けるだろうと予想はしていたが

(うーん、流石に長距離走ると疲れる)

しかも今の自分はいつもと体の大きさも違うのだ
1年全員が校舎中いるからぶつからないよう気をつけなきゃいけないし

「!」

ぴたりと半身の足が止まる
肩が上下しているあたり疲れたのだろう。こっちも同じだけど

プレートを構える自分。いよいよバトルの展開だろうか…
……って

「おー見ろよ。ゴールドプレートのヤツがバトルしようとしてんぞ」
「マジだ。ちょっと見てこーぜ」
「すげー事なりそー」
「あれ、加水?」

わらわらとギャラリーが集まって来おった
注目される事が大の苦手な凛。体が硬直する

「きゃーちょっと見て!」
「いやーん可愛いー!!」
「あ…」

自分の半身が女子の集団に捕まってしまった
わたわたと暴れようとする
しかし向うは半身を取り戻した生徒ばかり
あっという間に囲まれて逃げ場を失ってしまった

「きゃーちっちゃいー」
「ぷにぷにー」
「可愛いー!」

きゃあきゃあとはしゃぐ女子の輪にそろ〜っと近付く凛
隙間からそっと腕を伸ばして半身に触れた

パァっと光って元に戻る
なんかあっさりというか…意外な形で終わってしまった

「残念だな、折角加水の魔法が見られると思ったのに」
「あ、えと…大門、くん。F組の」
「正解。今度は覚えててくれたみたいだね」

あは、と苦笑する凛
だが次の瞬間凍りついた

「おい大門!そろそろ行こーぜ」
「ああ分かった。それじゃ加水、また…ってあれ?」

いないし





「こ、怖かったよー」

あの大門と一緒に居る大きな男子は凛にとって恐怖の対象でしかない
以前の出逢いがあれだっただけに、余計に

「早く久美ちゃん達と合流しよ」

その頃には、6班全員が試験を終了していたのだけど





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