他校夢

□強い人、優しい彼。
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私の彼は、強くて格好いい。





強い人、優しい彼。





王者・立海の副部長。
頭脳は学年一で、常にトップの首席。
性格は真面目で、一途。
容姿は……少し老けているけど、最高に格好いい。
そんな彼と出会ったのは、中学での最初の春。



一目惚れだった。



鼓動が高鳴った。
迷いのない、真っ直ぐな瞳。鋭い視線。
伸ばされた背筋。皺のない制服。
凛とした存在感。居るだけで、圧迫させられる。
全てが完璧に思えた。
全てが、綺麗だった。



頂点に立つにふさわしい。
頂点に立つ為に産まれてきた人。



彼に近付いて、彼の傍に居たい。



ずっと、一緒にいたい。



彼だけを見ていきたい。



そう願った。



振り向いて欲しくて…。
好きになって欲しくて…。



必死だった。



私を知って欲しくて。
マネージャーになって、必死に仕事をこなして…



彼の信頼を得た。



距離が、近くなった。
一気に、彼に近付けた。



今まで知らなかった笑顔が、見られる位置になった。
今まで知らなかった仕草が、解る距離になった。



ときめく仕草も、愛しくなる笑顔も…



全てを独り占め出来る距離。



「桜子、帰るぞ」

「うん」



私だけに、見せてくれる笑顔と素顔。
私だけが知っている。



誰よりも傍にいるから見られる。
彼の隣にいるから、見られる。



優しい彼。隣にいるのは私だけ。



今の、彼との距離は…



0(ラブ)メートル―…





執筆完了【2006/10/06】
更新完了【2006/10/11】
訂正加筆【2013/09/23】
 

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