他校夢

□Sweethearts' mail
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朝から雪が降りそうで降らない、そんな一日が今日も始まろうとしている。
朝から寒いなんて、冬があまり好みでは無い私にとっては、かなり厳しい。
何だか時間どおりに学校へ行くのが馬鹿らしく思えてきた私は、再び布団に包まり、二時間遅刻していく事に決めた。





Sweethearts' mail





「あぁ眠…」

そう呟いて、二度目の深い眠りへと落ちて行きそうになる。
途中、聞き慣れた曲が携帯から流れた様な気がしたが、完全に無視。
しかし十秒位で曲は鳴り終わった。短いからきっと友人がメールをしたのだろう。
そして、目が覚めたのは二度寝してからの丁度二時間後の十時十五分。私はむくりと起き上がり、寒さに耐えながら身仕度を整え、携帯だけをポケットに入れてから、学校へ行こうと家を後にした。

「そう言えばメール来てたんだっけ…」

まだ携帯を掴んでいて、タイミングよく思い出した。
そして携帯をポケットから取り出し、片手で器用に開いた。開いた携帯のディスプレイには、新着メール一件と言う表示がされている。
密かに新着じゃないだろう…と心の中で呟きながら、メールを開くと、受信されたのは幼なじみ兼彼氏の丸井ブン太からのメール。内容は、至極簡単なもの。


桜子〜今日も遅刻かぁ〜?


一応、返信してやるかと携帯を操作する。寒さのあまり手がやられてしまい、何時もよりスムーズに打つ事が出来ず、悪銭苦闘。けれど何とか、短い文ではあるが、打つ事に成功。


今から行くvV


それだけ送った。
その数十秒後に早くも返事が帰ってきた。相変わらず、メールの返信早いんだよなぁー。
受信されたメールを見ると、短いけれど嬉しい事が書いてあった。


桜子いねぇと寂しいから早く来いよなぁ〜(−_−メ)
そんなに寝てると俺が襲っちゃうよ?


ブン太なら寝ていなくても襲いそうな気がするけどなぁ。
しかも何げに顔文字使ってるし…まっ可愛いからいいか。
なんて返事をしようか、歩きながら考えていると、いつのまにか学校に到着していた。

「あっ…着いちゃった…」

携帯を見ると、ブン太にメールを返信する所のまま。
もう着いてしまったから、ブン太にその事を伝えようとメールを返す。


今学校着いたから寂しくないよvV
ってか襲うな!!


そう送信し、校舎に入り、靴を履き変えてから教室を目指した。
さすが授業中。皆シーンとなっている。
あぁー…この感じ嫌い。静かすぎると何か落ち着かない。

「遅れましたぁー」

そう言いながら、教室へ入ると、丁度担任の授業。
遅刻の常習犯だから、皆からの視線を浴びるのにはもう慣れた。

「またお前か…今日は寝坊か?」

「あぁー…、寝坊と言えば寝坊だし、違うと言えば違います。つい睡魔と言う敵と戦っていたら、私の力不足で負けてしまいました!」

力説してみせる。
ストレートに言えば、単なる寝坊である。
私の説明に担任は、きっぱりと結論を出した。

「寝坊だな。早く席に就きなさい…」

かなり呆れてるよ。
クラスメイトの中には、私の言い方が面白かったのか、笑いを堪えている生徒が数名見受けられた。
真面目に授業に出て真面目だなぁ…。そんな事を思いながら席に就いた途端、携帯が音を奏でた。マナーモードにすんの忘れてた。


遅い!!
もっと早く来いよなぁー( ̄Λ ̄)


ブン太と私はクラスが違うから、いつもこうして授業中はメールのやりとりをしている。
友人からは、「ラブラブでいいわねぇ」とよく言われる。
実際ラブラブだけどね。
学校にいる時は、休み時間になれば逢いに来てくれる。学校が終わってもブン太が部活終わるのを待って、一緒に帰るようにしている。
幼馴染みで、家も近いから親も公認だし、夜遅くお互いの家に居ても、滅多に怒られる事が無い。だからずっとブン太と居放題。
私が望んで一緒にいるから、かなり幸せだ。
最近はブン太の家に泊まりっぱなし。これも私が望んでいる事。
いろいろ事情があって今私は一人暮らしだし、ブン太も私の家に泊りに来てくれる。
携帯をマナーモードにしてから、メールの返事を打ち込んだ。


朝寒かったし…。
布団から抜け出せなかったの!( ̄^ ̄)


ブン太に送信。
ポケットに入れてしまうと、気付きにくいかも知れないから、机の上に携帯を置いておいた。
それから数秒後、ブン太からのメールを受信。


じゃぁ俺、今日桜子ん家に泊りに行く!!
一緒に寝れば寒くないだろう?


ブン太が来れば寂しくも無くなるし、何より一緒に居られる事が嬉しい。
この間泊りに来たばかりだが、ブン太ならいつでも来てくれて平気だ。


解ったvV
待ってるからね(^^)v


メールを送信してから、パタリと携帯を畳んだ。
ブン太のメールを受信する前に、授業の終わりを告げるチャイムが校内に響き渡る。
先生が出て行ったと同時に、ブン太がクラスに飛び込んできた。

「桜子おはよっ!」

「おはようの時間じゃないけどね…」

やたらと機嫌がいいブン太。
私の家に泊りに来るからだろうか。
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