他校夢
□恋の始まりと続き/前編
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「初めまして…これから宜しくお願い致します」
今日、俺のクラスにかっわいー子が転入して来たんだ。
名前は桜子ちゃん。
ぎこちない様子で、自己紹介と挨拶を済ませている姿も可愛い。
今まで女子校に居たらしい。ほいじゃ、共学の中学大丈夫かにゃー。何だか心配。
可愛いし、すぐに他の女子とも仲良くなれるよね。
家の都合でこっちに来たらしい。ちょこっとだけど気になる。
けど詮索はしない方がいいよ、って不二に笑顔で言われちゃったし…。笑顔って所が恐い…。
恋の始まりと続き/前編
その日の一限目の休み時間に、桜子ちゃんの周りには、女子で一杯。
気になって見ていると、桜子ちゃんがかなり焦っていた。あんなに焦る事無いのににゃー。例の如く、クラスの女子から質問攻めにあっている。それを遠くから見ている不二と俺。
「桜子ちゃんすごいにゃー。皆から質問攻めだにゃー」
「転入生なんてそんな物だよ。けど桜子って子…可愛かったよね。エージ、あぁ言う子タイプじゃなかったけ?」
「にゃっ、何で知ってるのぉー?確かに可愛かったけど…」
見破られている…。
確かに桜子ちゃんはタイプだにゃっ。けど気になるだけで、そういう感情ではない。
もう一度桜子ちゃんに視線をちらりと向けると、まだ質問攻めにあっていた。
やっぱり焦っている。しかも戸惑っている様子だった。
「勘だよ…勘…」
なんか言い方が恐いにゃ〜。後ろに黒いオーラ出ているのは気の所為…。
いんやっ!そうであって下さい…。
勘って言うより、不二の場合、魔力だよにゃぁ。
うー…やっぱり不二は恐い…。きっと不二には気持ち隠せない。
〈Girl's Side〉
今日、私は青春学園中等部に転入してきたばかり。
しかも三年生。あと一年しかいないのに転入するなんて…短い期間だよ。しかも休み時間になったら、いきなり質問攻めに合うし…どう接していいか解らないよぉー。
前の学校は女子校で、お嬢様学校だったから、優雅にしていれば平気だったけど、青春学園ではそうは行かない。共学だし、お嬢様学校じゃないし…。
その前に、私人見知り激しいのにぃー…。自覚あるから良い方だけど、やっぱり恐い。クラスに馴染めるまでに、三ヵ月も掛かるのにぃー!!
父様の馬鹿ぁ。何が仕事の都合だっ!!…って父様の所為にしても仕方ないよね…。
こんなに集まってきちゃった…。
答えても答えても次の質問が降ってくる。いつまで続くのぉー…。
こんなの初めてだよぉ〜。誰か助けて…。
う―…私このクラスに馴染めるかなぁ…はっきり言って不安です…。
〈Boy's Side〉
放課後の部活の時に、皆に自慢してこよぉーっと!!
俺のクラスに可愛い子が転入して来たって。
けど、あれからあんまりクラスの女子と仲良くなれて無かったなぁー。どうしたんだろう?人見知り激しいのかにゃー…。
まっ!!初日はこんなもんだよね。仕方ない仕方ない。
そうだ!!自慢しないとだにゃぁー。
おっ!!あのちっこいのは…おチビだ。
おチビに言ったらにゃんて言うかなぁー。楽しみ。
前方にいるおチビに向かって、ダッシュで近づいて、そのまま後ろから抱きついた。
おチビって抱き心地いいんだよにゃぁー。あっ!!変な意味ないからねっ!!誤解禁止!!
「おっチビぃー!!」
「わっ!!何っスか!?いきなり抱き付かないで下さいよっ!!」
当たり前の様に怒られちゃった…でも、気にしない。気にしない。いつもの事だしぃー。
「おチビ聞いて!聞いて!」
「聞きますから離して下さい…」
むぅっ!!その口調はあんまり聞く気が無い言い方だ。
おチビの言う通りにする事無く、抱き付いたまま話し始める。
「今日俺のクラスに可愛い転入生が来たんだぁー。いいだろぅ」
「で…その先輩がタイプだったんですか…?」
「むぅー…、不二と同じ事言ってるにゃぁー」
なんで二人供、同じ事を聞くんだよー!!
だぁかぁらぁ!!そう言うんじゃないんってばぁー!!
「へぇ…不二先輩も同じ事聞いたんスかぁ…」
おチビ…段々不二に似てきている。
そっくりになりませんように…。
〈Girl’s Side〉
ふぅ…やっと質問攻めから解放された。恐かったよぉー。
残りの時間、クラスに溶け込む事無く一人の時間を過ごしていた。自分から話し掛けるなんて、私には無理です!!ありえません…勇気無いし…恐いし…。
明日もこんな調子だろうなぁ…
溶け込めなさそう。暫らくは一人だろうなぁ…淋しい事に…。
でも明日は質問攻めに合うことはないね。今日合っちゃったし。
明日は平和に過ごせるかなぁー。女子が話し掛けて来そうだけど、なんとか乗り越えよう。
元の学校に戻りたいよ…先が思いやられるってこの事を言うんだね。絶対に…うん。
〈Boy's Side〉
おっかしいにゃぁー。
次の日になってもクラスの女子と話してないにゃぁー。
桜子ちゃんが転入して来てから、一週間は経っているのに、クラスに溶け込めて無い様子。なんか心配になって来た。
「ねぇ不二ぃ?桜子ちゃん…また一人だよ」
「そんなに気になるなら話し掛けてくれば?あの子の力になってあげれば?」
「う、うん…」