青春Play back

□青春Play back.
1ページ/1ページ


仕方がない…。



そうするしか他に…



思い付かなかった…。





青春Playback
*第十一話*






「はぁ…」

片付けをしながら、ついため息がこぼれた。
後ろを向くと、景吾はソファーで規則正しい寝息をたてている。

呑気に寝てるよ…。ったく…。
景吾が来てから、私生活かなり掻き乱されてる。

一人が気ままで楽だったのに…。振り回される日々は、かなり疲れるよ…。振り回される方って、こんなに大変なんだ…。

振り回すのは、私の得意分野だったのに…。
まさかこの歳で、男に振り回されるなんて…。なんか悔しい。
振り回してやりたいけど、景吾は振り回せないな…。無理だと思う。すっごい悔しいけど。


『最近つめてぇーな』


さっきの景吾の言葉、気のせいなんかじゃない。深く関わらない様に、わざと冷たくしている。
だって相手は中学生。さすがに、手を出していい相手じゃない。
それに景吾は気紛れで、いつここに飽きるか解らない。
明日には飽きるかもしれない。いや、一年後かも知れない。
そんな奴に一々本気になってたら、ただ自分が馬鹿を見るだけ。
最初は、運命の出会いかな?なんて思っていたけど、今はそうは思わない。神様の気紛れ。そして景吾の気紛れ。いつ、その気紛れが変わるか解らない。

なるべく、深く関わらない。
景吾に、何を言われようと、必要以上に近付かない。
大人な態度を、崩さない様にしないと…。

それに、愛だの恋だのなんて物は、よく解らない。
好きとか嫌いとかなら解るけど、愛しいなんて気持ちは解らない。
景吾となら、恋愛できそう。そう思ったのは、今まで景吾みたいなタイプと出会った事がないから。
似たもの同士ならいけるかな?と思ったけど、年下過ぎたな…。

まぁ、男に対する態度は、半分これが素だから決して苦ではない。


ただ少し…


いやかなり悔しいだけ。



慣れているはずなのに。
景吾が来てから、生活乱されまくって、よく解んなくなってきた。

でもこれだけは言える。
景吾に、恋愛感情は抱いてない。
ただの我儘な弟にしか見えない。中身を見ちゃったら、男としてはちょっと…。

格好いいけどね!
だけどまぁ…年下過ぎはヤバいでしょう…。手を出しちゃいけないなんて解ってるから。
景吾だって、年上過ぎるおばちゃんは相手にしないだろうし。
お互い、気楽にやればいいや。

「ん…」

片付けを終えたら、景吾が小さい声を洩らした。
起きたかな?と視線を向けるが、ただ寝返りを打っただけ。

「何だ…」

寝顔さえも綺麗で、つい少し見惚れてしまった。
このまんま寝るんだろうか…こいつは…。せめてお風呂に入って欲しい。風邪でも引いて、私に移されたらたまったもんじゃない。

「景吾、お風呂入ってから寝てよ!マジ風邪引くよ!」

移されてもイヤだけど、景吾を看病と考えたら、必死に起こしていた。
だって、絶対に超面倒臭いに決まってる!あぁじゃないとか、こうじゃないとか、絶対に我儘を言うに決まってる!

「うるせぇなぁ…」

起きたは起きたけど、目を開けず起き上がろうともしない。しぶといな…。
どうしても、風邪は引かれたくない。だけど、景吾は起きる気配はない。
私は押し入れから、厚い掛け布団を出して、それを景吾に掛けてやった。

「これなら風邪引かないでしょう」

「重い…」

「ならお風呂入ってから寝てちょうだい」

「明日入るからいい…寝かせろ」

不機嫌にそう言うと、景吾は重いと文句を言ったにも関わらず、毛布と掛け布団を、頭まで被った。
多分、私の声が聞こえないようにしてんだろうな…。

「あらそう…」

絶対に動かなそう。そう思い、もういいやと諦めた。
明日入るって言ってるし、もう放置でいいや。
取り敢えず、私はお風呂に入らなくちゃ…。朝が弱いから、早起きなんて絶対に出来ないから、朝風呂なんて私には出来ない。
景吾を放置して、私は一日の疲れをいやすべく、お風呂へと迎う。
暑い布団を二枚掛けた景吾は、本格的な眠りに入ったみたいで、顔を出す事はなかった。



冷たいと言われてもいい。



私は犯罪者には…



なりたくないから!!






移行完了【2015/10/13】
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ