青春Play back
□青春Play back.
1ページ/1ページ
嘘だ…。
絶対に嘘だ!!
こんな子供にときめいているなんて…
絶対に嘘だぁー!!
青春play back
*第六話*
「あんた…本当に中学生なの?」
先程から、同じ質問を繰り返し景吾に投げ掛ける。いい加減うざくなってきたのであろう景吾は、かなり不機嫌な表情で「あぁ」とだけ答えた。
信じられない。
本当に信じられない。
こいつが中学生なんて…。私よりは年下だろうとは思っていたけど、まさか中坊とは…。っていうか、ここまで中坊と言う言葉が似合わないのは、景吾だけだろうなぁ。
てっきり、大学生だと思っていたから、真実を知った私の驚きは計り知れない。
けれど、これでようやくすっきりした。時々、突拍子もない日に家にいたりいなかったりしたのは、大学ではなくて中学校だったんだ。
道理でおかしいとは思っていたけれど、まさか中学生だとは誰も思わないよなぁ…。
かなり格好良くて大人っぽいし、大学生が妥当だろう。たまに、幼い面も垣間見たりするけどね。
景吾を見ていて、私ははっ‥と思い出した。
「っていうか…あんた煙草吸ってなかった?」
「……気のせいだろ…」
(こいつ…しらばっくれるつもりかよ…)
都合の悪い事は知らないフリ。やっぱり子供だな…。
煙草を吸っていたから、私は景吾が大学生だと思ったんだ。
っていうか、誤解の原因は景吾じゃん。
「はい」
手を差し出し、景吾に催促する。
不機嫌だった景吾の表情が、益々不機嫌になっていく。
「あぁ?何だよ」
「煙草、回収」
当たり前の事。
紛らわしいという事もあるし、今は居候と言えど、景吾を世話しているのは私だ。保護者的な責任は多少ある。
それに、私自身が煙草の匂いがあまり好きではないという事もある。
回収と言われ、景吾の表情が不機嫌から怒りへと変わっていく。
「なんでんな事されなきゃいけねぇーんだよ!」
「未成年なんだから当たり前でしょ!!家出して来て、見知らぬ私の家に飛び込んで来た…っていう事は多めに見てあげる。けどね、煙草だけは見逃せないわね」
今考えると、景吾はかなり非常識な事をしていると思う。
家出して来て、見ず知らずの私の家に強引に居候として居座っているなんて…。けれど、それは景吾だから許せる。他の奴だったら、確実に断って追い出しているだろう。
「ぜってぇーヤダ!!」
「追い出すわよ」
「ッ!仕方ねぇなぁ…」
そう言って、景吾は渋々胸ポケットから煙草を放り出した。
どんなけここに居たいのよ…。
まぁ…別にいいけどね。
「未成年の分際で煙草なんか吸うんじゃないよ!!」
「はいはい」
景吾から取り上げた煙草をごみ箱に捨て、再び釘を打つ。
匂いに敏感だから、吸って来たか吸ってないかなんてすぐに解る。
大学生だと思ったから、煙草は許してたけど、やっぱり中学生ではよくないわよね…。
似合っていたから残念な気もするけど、駄目なものは駄目なんだから。うん。私の家にいる以上は、ちゃんと従ってもらわないとね。
「まぁ、改めて…これから宜しくね」
景吾の本当の年齢知れたし、私達の関係、一歩前進って感じかな。
まぁ…、これから景吾との生活に堪えられるか不安だけどね…。
「あぁ」
不適な笑顔で笑う景吾に、またもや胸をトキメかせてしまった。
下の子供に、いちいちドキドキしてるなんて…。
私…
これから大丈夫なのかぁ…?
無駄に格好いい景吾と…
どんな生活を送ればいいのだろうか…。
(はぁ…どうしたもんか…)
続
移行完了【2015/10/13】