青春Play back
□青春Play back.
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君の一つを知る度に。
君の表情を知る度に。
味わったことのない感覚に…
襲われていく―…
青春 Play back
*第五話*
いきなり、物音が耳に飛び込んできて、頭を刺激した。
「ん…」
小さい物音で、目が覚めた。
思考が停止している頭を無理矢理起こし、上半身だけを起き上がらせた。
「誰…?」
そう言いながらベッドから起き上がり、音のした方を目指す。
目をこすりながら、私は重たい足取り。
せっかくの休み。一日寝ていようと思っていたのに…。
そしてリビングに着くと、傍若無人な男が、当たり前のように我が物顔でくつろいでいた。
「景吾…」
「起こしちまったな」
「いや…」
私に気づくと、景吾は組んでいた足を直した。
足長い…。羨ましいよ…。
若いっていいなぁー…。
(って若い子に嫉妬してどうするよ?)
若さは最大の武器。
私が景吾くらいの時は、そればかりを振りかざしていた。
美しさと若さを武器にして、何人もの男を落としてきた。
それなのに、今は男の気配すらしてない。
遊びすぎた反動なのだろうか…。
若さが最大の武器になることを、誰よりも知っている。
きっと目の前にいる男も、同じことをしているに違いない。
景吾なら、落とせない女なんていないだろうから。
「なんだよ…?」
「あっ、ごめん…」
無意識のうちに、景吾をじっと見つめてしまっていた。
我に返り、私は景吾に背を向けてキッチンへと歩いていく。
「そういえば、あんた今日学校休みなの?」
「あぁ。部活も休みだしな」
「ふーん…」
(氷帝大って今日休みだっけ?)
今日は特別な休日でもなければ、土日でもない。
私は今日有給をとっていてたまたま休みなだけで…。
景吾のズル休みなのか、本当に休みなのかは解らない。
ま、休みの日に一人でいるのは寂しいからいいけどね。
キッチンで紅茶を入れて、またリビングへと戻ってくる。
景吾に「俺のは?」と聞かれたから、「自分で入れろ」と言ってやる。
自分でいれるのが面倒くさいのか、景吾は自分で入れたりはしない。
料理も私に頼りっきり。
何一つ自分では動かない。
居候なのに、私より態度がでかい。
格好いいくせに、何も出来ないでかい子供を持った気分だ。
座ったソファーには、制服が無造作に置かれていた。
「ちょっと景吾。制服くらいハンガーに……?」
制服を手に取り、ある重大なことに気がついた。
(あれ…?確か氷帝大って私服じゃなかったっけ…?)
今更ながらはっとした。
確か…大学は私服だったはず…。制服じゃない。
あれ?
じゃぁなんでここに制服があるの…?
景吾には必要ない…よ…ね?
しかもこの制服って……
「あんたって…年幾つ…?」
恐る恐る問いかける。
私もしかして…とんでもない誤解をしていたんじゃぁ…。
「十五」
「嘘だ…」
有り得ない…。
こいつが十五なんて有り得ない。
どうみても大学生にしか見えないよ…。
っていうか年齢聞かないで勝手に誤解をしていた私も私だけどさぁ…。
こいつが中学生だったなんて…
これって犯罪には…
ならないよね…?
十五の子にドキドキしてたなんて…
凄い不覚なんですけどぉー!
続
移行完了【2015/10/13】