青春Play back

□青春Play back.
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神様からの贈り物かと思ったけど、そうじゃないみたい。


第一、贈り物って柄じゃない。


無駄に顔が整っていて、無駄に格好いい青年。


最初は知らなかった。こんなに我が儘で、自己中だったなんて…。


この子と、本気の恋なんて……





出来るのだろうか…?





青春 play back
*第二話*






世話になるとだけ言って、再び布団を被った青年から、力付くで掛け布団を剥がした。
それに怒りを露にする青年。怒った顔も綺麗。

「何しやがる!?」

「世話になりたいならちゃんと話なさい。それに、名前まだ聞いてないわよ」

そんなにお人好しじゃない。知らない子を拾って、世話になる。と言われて、「はいそうですか」なんて簡単に世話する程、私は優しくない。
せめて名前くらい知っていないとね。呼ぶ時不便だ。
青年は面倒臭いのか、軽く舌打ちをした。そして、嫌々ながらも、名前を呟く様に言った。

「景吾…」

「へぇー…格好いい名前じゃない」

そう言いながら、景吾が占領しているベッドに腰掛けた。
すると、不機嫌そうに景吾が口を開いた。

「俺様が名乗ってそっちは名乗らねぇ気か?」

「あぁ…ゴメン。私の名前は莉音」

世話になるのにこの態度は…なんて思ったけど、こういう奴なんだと思って諦める。
私が名乗らないっていうのも失礼だしね。
でも、この先景吾と上手く生活出来るんだろうか…?


なんか不安…。


ま、成る様に成るか。


「あっ!ちょっとまた寝る気!?」

「ねみぃーんだよ」

「あんたねぇ!!居候なら居候らしく謙虚にしなさいよね!!」

「居候に優しくすんのも大切なんじゃねぇーのか?」

「あんたに優しくする義理なんてないわ!!」

布団に潜り込む景吾。
いくら言っても、出てこようとしない。
さっきあったばかりの人にこんな態度とれるなんて…。ある意味凄い子ね…。
こいつの態度のせいか、あったばかりと言う気がしない。って言うか自分勝手過ぎだ。
人の布団占領するは、年下の癖に生意気な口を訊くわ…。
不機嫌と思える景吾の行動と口調。
布団を被っている姿が少し…いや、かなり可愛い。
私は景吾を退かす事を諦めて、再びベッドに腰掛けた。そして、溜め息をついてから景吾に問掛けた。

「あんた…何いじけてんの?」

「ッ!!いじけてねぇーよ!!てめぇの目は節穴か?俺様がいじける訳ねぇだろ」

(起きた…)

勢い良く起き上がり、急いで取り繕う。
負け惜しみにも聞こえますけど…。
でも、景吾の態度からして、明らかにいじけているか…怒っているか…のどちらかだ。
本当にいじけていないとしたら、不機嫌なのだろうか…。

「なら何で、そんなに不機嫌なのよ…」

「てめぇには関係ねぇ」

問掛けてみるが、景吾はそういい放った。
たまたま景吾を拾っただけ。深く追求する理由はない。景吾は野良猫だ。
だけど、景吾が不機嫌で、一番迷惑するのは私だ。
八つ当たりなんてされたら溜ったもんじゃない。
それに、何か気になる。
この子が…。こんな綺麗な顔の青年が不機嫌になる理由が…。
どんな事で腹を立てるのか…。どんな事でいじけるのか…。
景吾には興味が持てる。不思議なくらい、興味が持てる。

「関係ないわけないでしょ?これから一緒に過ごすのにずっとそんな調子だったら、すぐに追い出すわよ?」

「チッ!」

余程追い出されたくないのか、景吾は観念した。
あからさまな舌打ち。
景吾はベッドから起き上がり、胸元にあるポケットから煙草を取り出した。
当たり前の様な行動に、私は特に疑問には思わなかった。ただ単に、「何才だ…?」位しか思っていなかった。しかもそれは、頭の片隅での思考。すぐに消えてしまう程度でしかない。
煙草と景吾。似合いすぎ…。似合っているし、特に不思議な事なんてなかった。
そして、煙草に火を付けながら、今度はソファへと移動した。

「隣の女がしつこくてよ」

息を吐き、紫煙が漂う。
そんな景吾をベッドに腰かけたまま見ている。


そして改めて思った。


(やっぱ景吾は格好いい…女がしつこくするのも解る。こんなに煙草が似合う奴、そうはいない…)

整った顔立ちに、自信に溢れた瞳。


こいつはきっと…


敗北なんて知らないんだろう…。


私と似てるかも―…


「もう飽きたから別れ話切り出したんだ。そしたら何か物投げて来やがって…」

「うわっ…ヒステリックな女…」

そんな女居るんだぁー…と感心しながら聞いている。
しかも隣の女。確か…氷帝大に通う学生だった気がする。
結構綺麗な人。だけど物腰穏やかで、もの投げつける様な人には見えなかったけどな…。
氷帝大のお姉さまと、何処で知り合ったんだろう…。
気になってきちゃった。
でも聞いて、どうこうしようって訳じゃないから、聞いても別に意味はない。
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