青春Play back
□青春Play back.
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毛並みのいい野良猫。
考えている事が…
全く解らないんだけどぉー!?
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*第十五話*
「なんなのよあいつ…」
電話が切れてから、ぽそりと呟いた。どうして私は怒られた?
電話しないだけで、どうして文句を言われなくてはならない?
訳が分からなくて、ただ唖然とした。携帯を見つめて、理由を考える。
構って欲しいのか?
でも、毛並みが良いんだから、構われ過ぎる位構われているだろうから、逆に放っとかれたいのではないのだろうか…?
干渉されなくて、楽だって言ってたし。
それとも、干渉されなさ過ぎて、逆にプライドに触った?
(それ有り得るわね)
無駄にプライド高いし、悔しかったとか?それなら、文句を言われた理由も頷ける。
他に理由らしい理由なんて思い付かない。それらしい理由に行き着いたから、思考を切り替えて、私は夕飯の続きをする事にした。
味噌汁と白いご飯と、少しのおかず。本当は出来合いの物で済ませたいけど、景吾が煩いから、それは避ける。
まぁ、料理するの好きだし、花嫁修業になるから、そこは別に構わないけどね。
一人だったら、疲れてるからってろくにご飯も食べないで、すぐに持ち帰った仕事をしたりして、不規則な生活を送っていた。
景吾が来てからは、不規則な生活をしなくなった。いや、出来ない。相手は中学生だし、居候を許した手前、面倒見ない訳にもいかない。しかもそいつが我儘ときたからには、余計にしっかりしなければならない。
「出来た!我ながら上出来ね」
おかずの盛り付けをして、夕飯が完成。上手く出来た夕飯を目の前に、自画自賛していたら、玄関が開く音と同時に、景吾の声が聞こえてきた。
「ただいま」
「おかえり」
笑顔で出迎える。
出来たおかずを机に運んで、夕飯の支度を整える。
機嫌のいい私に、景吾は靴を脱ぎながら話し掛けてくる。
「電話では機嫌悪かったのに、何で今は上機嫌なんだよ」
「ご飯が上手く出来たからよ。それに、忙しいのに電話に出てあげたんだから、有難く思いなさい」
「あっそ」
不機嫌になり、上着をソファーに引っ掛け、カバンを放り投げると、景吾はどかっ!とソファーに腰掛けた。
偉そうな態度は相変わらず。
けど、それが様になっているから、敢えて文句は言わない。っていうか、もう慣れたから、文句なんて思い付かない。いつもの事。
「ご飯食べるでしょ」
「あぁ。腹へった…」
「はいはい」
我儘な居候。
だけど不思議と、早く出ていけなんて思わない。気が済むまで、ここにいればいい。我儘だけど、煩わしくない。
仕方ない。我儘に付き合ってやるか!とすら思えてくる。
気紛れな猫のこと。
いつ気が変わるかなんて解らない。ずっとここにいるかもしれない。明日、出て行くかも知れない。
しかし、それはそれで構わない。
飽きるまで、ここにいればいいさ。咎めはしない。だって、景吾の人生。好きに生きる事を、景吾が選んだんだから。
人の事言えないから、何も言わない。いや、言えない。
私だって、似たようなもんだから…。