青春Play back
□青春Play back.
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振り向かせてみたいなんて…
俺様らしくねぇ…。
青春Playback
*第十四話*
授業中。
休み時間。
何度も携帯を開くが、電話が来る気配は全く無い。電話どころか、メールすら来ない。
番号とアドレスを交換すれば、俺に興味を抱いてくれるかと思っていたが、とんだ勘違いだったな。
どこまでも、俺はただの居候。
莉音の中で、俺の立ち位置が変わる事はない。そう考えたら、単純に悔しかった。
今まで、俺に落ちなかった女はいなかったのに…。
どんな女でも、俺が言い寄れば顔を赤くして落ちていった。
番号やアドレスを交換すれば、優越感に浸った下らないメールが来ていた。それか、浮気してないかだの、誰といるの?と言った詮索する様なメール。
必ず女から。自分からは決して送らない。だから、俺がこうしてメールを待ったりするなんて事はなかった。
莉音は、本当に俺に興味が無いんだな…。
携帯を何度も弄る。
けど、莉音からメールが来る気配はやはりない。
「ねぇ跡部」
「あぁ?って、ジロー起きてたのか?」
今は授業中。集中なんて出来ないから、教師の話を上の空で聞いていたら、急にジローに話し掛けられた。
いつも寝てるのに、ジローが授業中に起きてるなんて珍しい。
ジローとは隣の席だから、部活以外ではジローと話す事が多い。まぁ、授業中こいつは寝てるから、授業中は話さないけどな。
問い掛けると、ジローは机に突っ伏したまま口を開いた。
「携帯を何度も弄ってるから、煩くて目が覚めちゃったCー」
不貞腐れた様に言うジローに、俺は素直に悪いと思い、携帯をポケットにしまった。
「わりぃ…」
ずっと見ていたら、いざ電話やメールが来た時、楽しみが半減してしまう。
暫らく携帯を見ないで、休み時間にチェックした方が、携帯を開く楽しみが出来る。
そう思い、暫らく携帯を弄らない事にした。ジローにも悪いし。
「そんなに携帯気になるの?」
「べ、別に…」
悟られたくない。
女からのメールを待ってるなんて、絶対に悟られたくない。
素っ気なく返した態度が、余計怪しくて、墓穴を掘った事に、全く気付かない。
「居候先の人?」
「ちげぇーよ」
否定するが、ジローはにやにやしながら、疑いの眼差しを俺に向ける。完璧に見破られてる。
けど、認めたくない。この俺が、女からのメールや電話を待っているなんて…。
らしくない。
こんなの、俺様らしくない。
どうしちまったんだ…?
「結構長いね」
「何が?」
「今回の家。気に入ったんでしょ」
なんかムカつく。
見透かされているみたいで、素直になる事は、俺のプライドが許さない。天の邪鬼なのは昔から。素直になっても、いいことなんてない。意地張ってる方が、俺様らしくていい。
「そんなんじゃねぇーよ。まぁ、女が煩くねぇから、住んでるだけだからよ」
「えっ!?煩くないって、跡部に興味ないって事?」
「悔しい事にな」
改めて口にしたり、誰かに言われたりすると、なんか苛々する。
俺に興味がない。
構ってもくれない。
干渉してこない。
番号交換したって、莉音から電話が来る気配はない。
どうして俺だけ、楽しみに待ってなきゃならねぇーんだ!
すっげぇー不公平だ!
「珍Cーねぇ…」
「希少価値が高い女がいたもんだな…」
俺が全力でいったら、莉音は振り向いてくれるのだろうか…。
興味を、少しは抱いてくれるのだろうか…。
一体、どうなるんだろうか…。
どう考えても、莉音は男の扱いに慣れている。俺をガキ扱いするくらいだからな。
振り向かせてみたいなんて、俺様らしくねぇーな…。
さり気なくポケットから出して見た携帯には、メールも着信も入っていなかった…。
* * *
休み時間の度に、携帯を確認するが、莉音から連絡が来る気配は全くない。
放課後の部活が終わってから、少しだけ期待しながら携帯を開く。
しかし、連絡は来ていなく、すぐに肩を落とす。
今日だけで、何回携帯を見たんだろうか…。心なしか、バネがゆるくなってる気がする。
盛大なため息を吐き、更衣室のソファにどか‥っと座る。
っていうか、何で電話一本も寄越さねぇーんだよ!どこまで放任主義なんだ!!
何か…段々ムカついてきた。
向こうから寄越さねぇーんだから、こっちから電話してやろうじゃねぇーか!!