企画集(てにす)
□LOVE season-恋-
1ページ/3ページ
「侑士ー!クリスマス一緒に過ごそぉー」
「パス!!」
「私と過ごすんだよねぇ」
「それちゃうで…」
「だったら私しかいないじゃない!!ねぇ〜」
「そやから違う言うてるやろぉー…」
後悔や…。
なんでこないに苦労せなアカンねん…。
振り切っても振り切っても、女子は俺に言い寄ってくる。
クリスマス過ごしたいんはこいつらやない…。っちゅーか遊び相手やったんやから過ごす訳ないやん…。
断っても諦めん奴や、泣きながら行ってしまう奴色々や。
溜息しか出てこぉーへん。
なんでこないな事になったんやろ…。
…ちゅーか…
全部自分のせいやがな…。
LOVE season-恋-
「自業自得…だね」
俺が教室でうなだれとったら、桜子に冷たく話し掛けられた。
今の俺にぴったりの言葉やな…。
そやけど…、もう少し優しくしてくれたってええやないか…。
「桜子相変わらず冷たいやっちゃな…」
「遊び歩いてたって言うツケが帰って来たのよ」
再び冷たい言葉を掛けられてもうた…。立ち直れなくなるやんか…。
桜子は俺の友達。そやけど、そう思ってへんのは俺だけやな…。桜子は俺の事、友達思ってんやろなぁー…。
あ…、なんや溜息出て来たわ。
最初は友達やった。
別に何とも思ってへんかった。
大勢いる中の一人に過ぎんかった。
そやけど…
気付いたら好きになってたんや。
好きってどないな気持ちかよぉ解らんかったけど、桜子が教えてくれた。
気付いたら、いつも桜子は側にいてくれたんや…。
愛なんて馬鹿やないか?
何かに縋って生きていくなんて格好わる…。
そう思っとった。
そやから誰にも本気になれず、俺は女と付き合うてきた。
当然、本気になれる相手なんかおらんかった。
どいつも皆同じやった。
体目当て。体裁目当て。ただ自慢したいだけ。
ホンマに俺を事見とる奴なんて近くにおるんか?
女日替わり言うのも当然やった。
好きでもない奴抱いて、寒さは凌げた。
そやけど…心までは無理やった。
唯一の寄り所みたいなもんやな…。桜子は…。
そやけど、それが俺ん中で大きな存在になっていってたんや。
気付いたら、好きやった。友達思うてたんが友達や無くなった。
一人の女として桜子を見てる自分に気付いたんや。
好きな子見つけたんはええんやけど…
どないしてええか全く解らへん…。
戸惑うことしかできひん…。
「侑士…?あんた聞いてるの?」
「あっ…何や?」
「聞いてないし…」
桜子に話し掛けられ、俺は思考を中断させた。
桜子に意識を集中させる。
全く聞いてなかったわ…。どないしよ…。
桜子は呆れながら呟いた。
「スマン…」
「ったく…クリスマスの誘い断ってどうするの?って話よ」
「ちょっとな…」
「ふぅーん…」
桜子は感心ないんか、力無く答えた。
そん時、俺は桜子に言わなアカン事を思い出した。
「あんなぁー…桜子」
「ん?」
「……」
「何なのよ!!」
言わなアカンのに、なんちゅーて言ってええのか全く解らへん…。
言葉が出てきぃへんのや。
誘うやなんて俺にとったら簡単な事やろ?そやのに、なんで言われへんのや。
誘うだけやないか。誘う…誘う…。
あれ…?いつも…どう誘っとったっけ?意識した事あらへんかったから、誘い方なんて解らへん…。
普通に誘えばええんやな!普通に…普通に…って普通な誘い方さえ解らん…。
「あんなぁー…なんや…」
「なんなのよ…言いたい事あるなら早く言ってよ…」
「ん…なんや…」
さらりと言った方がええんかな…。
それとも、遠慮がちに言った方がええんかな…。っちゅーかこの時点でさらりやないやんか…。
なんでこないに悩んどるんやろ…俺…。
こないやったら何も始まらへん。
好きって気付いたんや。
桜子とクリスマス過ごしたい。
そう思ったんやったら、何も悩む事ないやん。
自分に素直になるやなんて…、こないなこと久し振りや。
「桜子、クリスマス一緒に過ごさへん?」
「えっ………」
めちゃくちゃ驚いとる。驚くわな…。
散々遊び回っとった俺が、女からの誘い断って、誘われたんやから、驚くのも無理ないわな。
そやけど、桜子とクリスマス過ごしたいんや。
好きな子と、クリスマス過ごしたい思うんは当たり前や。
そやから、俺は桜子と過ごしたいんや。