企画集(てにす)

□バレンタインSS-壱-
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for K.Atobe


愛するあなたに


贈るチョコ…。


Happy valentine



「桜子」

「ん?」

廊下で名前を呼ばれ、振り返った。
振り返ると、そこにはジャージ姿の景吾の姿。

これから部活なのか…。

「帰り、待ってろよ」

「うん。会長が部活に専念されているから、仕事が溜まりに溜まっちゃってるからねぇ」

「嫌味かよ…。けど、何やかんやいいつつ、全部やってくれるんだろう?」

「仕方ないでしょ」

生徒会長の仕事は、大体私に回ってくる。
会長が部活に忙しいのを知っているし、景吾の役に立ちたいと、嫌な顔一つせずに仕事を請け負う。
仕方ないと解っているし、景吾に頼りにされるのが、何より嬉しいから。
それに、部活で待っている間も、退屈しないで済むしね。

「さすが俺の女」

「でしょ?」

「それと、今年はチョコねぇのか?」

本日、聖なるvalentine day。
愛する人に、チョコを贈る日。
もちろん、愛する景吾にあげるチョコがないわけがない。
けど、素直に渡すなんて悔しいから、少しじらしてやる。

「他の子から貰ってるんでしょ?」

「貰ってねぇーよ」

「帰りでいいじゃん」

「あいつ等に自慢してやるんだよ」

完璧な答えばかり。
あんなに女子が群がっていたのに、一つも受け取らないなんて、さすが景吾。
しかも、自慢してやるなんて…。自慢する程のチョコじゃないけどなぁ。
けど、そこまで言われたら、あげない訳には行かないか。

「しょうがないなぁ」

ポケットから小さめの箱を取り出し、景吾に差し出す。
赤い箱に、ピンクのリボンを巻いて可愛らしく。
景吾一人の為に作った、この世に一つしかないチョコ。

「はい。バレンタインのチョコ」

「ありがとな」

嬉しそうに受け取りお礼を言うと、景吾は私の頬にキスをしてくれた。

何だかくすぐったい。
帝王様であるあの景吾が、たった一人からのチョコしか受け取らないなんて、凄い嬉しくて、くすぐったい。
しかもあんなに嬉しそうにしてくれると、景吾の彼女で良かったと思えてくる。

帝王様は、たった一人の女の子に、夢中な様子。
そう思えたら、愛されていると自信が湧いてきて、周りに敵なし!なぁーんて思えちゃう。

「どーいたしまして」

愛する人にチョコを贈る。
そんな日が、毎日あっても、景吾は私だけのチョコを受け取ってくれる。そんな気がした。

だって、一番愛されているのは私だから。

「部活頑張ってね」

「これがあるから頑張れるぜ。桜子も仕事頑張れよ」

「うん」

私が返事をすると、景吾は時間だ…と言い、私に再びキスをすると、行ってしまった。

愛されている。
必要とされている。
そんなことを、景吾は言葉じゃなくて行動で示してくれるから、安心するんだ。

来年のバレンタインも、愛する景吾と迎えられますよーに…。


2008/02/14
happy valentine!


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