金銀花
□君と歩く未来まで
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今日も穏やかな三Z。
当たり前な日常。
君と歩く未来まで
「いい加減にしろぉぉぉぉぉぉ!!!!そんなに東京湾に沈められてぇーのかゴリラァァァァァ!!!!!」
朝から、お妙の華麗な飛び蹴が炸裂。標的なんて、どっかの動物園から脱走したゴリラ…じゃなくて、近藤ゴリラしかいない。
「出だしの一秒後には戦争してんですけど!!ってか酷くない!?近藤さんに対して酷くない!?」
「あら新ちゃん、ゴリラの扱いなんてあんなもので十分よ。寧ろ、ゴリラとして扱ってるだけでも有り難いと思いな!」
近藤を、虫けらを見るような、敵意に満ちた眼差しで睨み付ける。
「お、お妙さん…」
哀しげな視線でお妙を見る。けど、お妙が相手にする可能性はゼロに近い。寧ろ有り得ない。それでも諦めないしつこい…基、一途な近藤に背を向けて席に着こうとした瞬間、神楽が大慌てで走ってきた。
「姐御ー!!」
「あら神楽ちゃん。どうしたの?そんなに慌てて」
「今職員室でスッゴい綺麗な人がいたネ!!」
「マジでかィ!?チャイナ!」
「うっせぇー。お前に言ったんじゃないネ!!誰も、お前みたいなドS、相手にしないアル」
沖田を見下し、すっごいむかつく馬鹿にしたような表情を向ける。
果てしなく気に入らない相手には、敵意剥き出しで接する。
「てめぇーこそ、どっかのアルアル娘なんて相手にされねぇーだろ」
「うるせぇー!!ドSよりマシアルよ!!」
「ドS舐めんなよ!痛め付けるのは大好きだけど、打たれ弱いんだからな!!繊細なハートの持ち主なんだよ!!」
「繊細だったらもっと人の気持ち解れよ!!そんな攻撃的なのさっちゃんしか喜ばないネ!!」
教室内で乱闘を始める二人を、気に留めるものなんていない。だっていつもの事だもん。
「可愛く言っても全然可愛くねぇ。逆に不思議だな」
うるせぇバーカ土方と、一同は思ったらしい。
「いや、管理人だけだろ!!ってかなんで書いてる奴に突っ込まなきゃいけねぇーんだ!!」
傍から見たら、一人でおかしな独り言を口にしているおかしな人にしか見えない。
けど、そんな土方を気にする生徒なんて、この三zには誰一人として存在しない。
未だにお妙にアタックして、怒りを買っているだけの近藤。
「だぁーかぁーらぁぁぁ!!いい加減にしろぉぉぉぉぉ!!」
「あぁぁぁぁ!!」
火事場の馬鹿力。いや、お妙の場合、元々怪力なだけだけど…。
腕に血管を浮き上がらせながら、怒りのままに近藤を持ち上げる。
そして、そのままどこかに投げ付けた。
ゴリラ以上に逞しいお妙。
素敵過ぎると思う。
けど、方向を誤った様子。投げた後素に戻り、「あらやだ」なんて呟いた。
「あぁ?」
近藤の悲鳴が、確実に自分に向かって来ている事に気付いた土方。
振り替えるが、もう遅い。
「どぁぁぁー!!」
見事に激突。
困惑していたお妙だけど、「大丈夫よね」といつもの笑顔を浮かべて、何事もなかったように席に着く。
諦めればいいのに…。でも諦めない。だってお妙が好きだから。
「静かにしろガキ共ぉぉぉぉぉぉ!!早く席につきな!」
いきなりお登勢が入ってきて、慌てて席に着く三Zメンバー。
いつものかったるそうな担任が入ってこない事に、クラス全員が疑問を抱いた。
みんなの代弁者として、新八が手を挙げる。
「お登勢先生ー!銀八先生はどうしたんですかぁー?」
「あいつに客が来てるから、自習だよ。まぁ、客っつっても、此処の卒業生だけどね」
「この高校卒業生なんていたのぉぉぉ!!!???初めて知ったんですけど!!」
「まぁ、夢だからね。っていうか、厳密に説明すると、これ小説版発売前にストックしたから、卒業生いんの?って管理人も思ってたらしい。詳しくは、現在発売中のファンキーモンキーティーチャーズを読んでね!ウフッ」
「さり気なく宣伝しやがったぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「でも、卒業生が会いに来ただけで、何で自習になるんでぃ?」
無理矢理話を元に戻す沖田。
卒業生なんて、他の教師の元にも来ている。でも、自習になるなど聞いていない。
授業の代理を立ててまで、卒業生に関わる意味なんて無い。授業が終わるまで待たせとけばいい話。卒業生なんだから、それくらいは覚悟で来ているはず。けど、敢えて大切な授業ではなくて、卒業生との時間を優先させた。それが全く理解できない。
すると、お登勢が不思議そうな表情で煙管を吹かす。そして、不思議そうに口を開く。
「おや?あんた達知らないのかい?」
「何がですか?」
「今会いに来てる卒業生は、銀八の婚約者。あいつは結婚するんだよ」
「えっ………」
有り得ない単語に、三zメンバーは咄嗟の事に頭が付いていかなく、目が点。
あの、ボッロボロの白衣着て、やる気のない魚が死んだ様な目をしている教師が…?
いやいやまさか。