金銀花
□友情の証と宝物
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(早く会いたいなぁー…)
広がる空を見上げて、思った…。
友情の証と宝物
夜兎族として、戦いを好んで生きてきた。
武器を片手に、陽を嫌いながら生きてきた。
戦いは好き。でも、戦った後に込みあげてくるものは、虚しさだけだ…。
だけど、唯一無二の親友と共に戦う時は、心がワクワク弾んだ。
楽しくて楽しくて仕方なかった。
でも、共に戦えなくなって早半年が経った。
親友と共に戦う時しかワクワクしない。だから、傘も日除け程度の道具となり下がってしまった。
傘を差し、日を浴びぬ様に日陰を創る。
(何処にいるんだろう…。パパさん情報に寄ると、万事屋銀ちゃんとかいう家にいるって聞いたけど……どこだ?)
パパさんから聞いた「万事屋銀ちゃん」と書かれた看板を探しながら、桜子は歩いてく。
歌舞伎町の道を歩くのは初めて。
落ち着いた雰囲気があり、桜子は歌舞伎町がかなり気に入った。
左右の建物を交互に見て行き、お目当ての看板を探す。
「あッ!!あった!!此処だ」
(やっと見付けた…)
思わず溢れる笑顔。
桜子の目の前には、スナックお登勢の看板と、探し歩いていた「万事屋銀ちゃん」の看板が、堂々と広がっていた。
溢れる笑顔を抑えながら、桜子は階段を静かに上がり、扉の前に立った。
(やっと会える…)
ドキドキの再会が待っている。
早く会いたい。
久し振りに会う親友。
変わっているかな?
(変わってないだろぅなぁー)
なんてウキウキしながら、桜子は扉を叩いた。それと同時に、声も上げた。
「すみませぇーん」
少し遠慮がちに声を上げると、微かだが、足音が聞こえてきた。
そして、すぐに扉が開いた。それと同時に、けだるそうな声も聞こえてきた。
「はーい、どちら様ぁー?依頼なら…」
中から出てきた銀髪の男を見て、桜子は賛同した。
パパさんから聞いていた通りの人だ。そう思った。成程…と心の中で頷いた。そして、桜子を見た瞬間、動きを止めた。
(……可愛くないか…?)
つい桜子に見惚れていた。
透けるような白い肌。
サラサラの髪。
そして抜群のスタイル。その上、曲線が目立つチャイナ服。だけど、その容貌を見て、銀時は疑問に思った。
(あれ?……なんか…)
「あの…」
「何ですかぁ?依頼ですかぁー?御嬢さんの為なら何でもしますよぉー」
「神楽…居ますか…?」
(やっぱりな…)
遠慮がちに聞いてくる桜子に、銀時は確信した。
やはり、神楽の知り合いだと…。
服装からして、神楽と同じ匂いがした。
極め付けは、手に持っている傘。そして先程の質問。銀時の予感は、ちゃんと当たっていた。
「神楽…」
「銀ちゃぁーん?どうしたアルかぁー?依頼人じゃなかったら追い返すネ」
銀時が呟いた瞬間、奥から神楽の声が聞こえてきた。
廊下の向こうから、神楽が小走りで走ってくる。振り向いて、伝え様とするより先に、神楽が桜子に気付いた。
「あぁー…」
「桜子…?…桜子アル!!桜子ぉー」
「神楽!!」
桜子に駆け寄り、嬉しさのあまり、桜子に飛び付いた。
そして、桜子も神楽を抱き締め返した。
二人の再会の抱擁を見ていた銀時は、訳が解らず…と言った感じで呆然としている。
「桜子!!元気だったアルか!?なんでこっちにいるアルか!?」
「神楽こそ元気だったぁー?地球に行くって言って行ったきり戻って来ないから心配になって来てみたのよッ!!」
両手を前で繋いで、桜子と神楽は久し振りの再会を果たした。
会えた事が嬉しくて、二人はずっと笑顔。
元気そうな顔を見られて安心した。
感動の再会は、無事に遂げられた。
異様なくらいの二人のはしゃぎっぷりに、銀時は押され気味。
「な、なんかよく解んねぇけど…その子、神楽の知り合いなのか?」
「違うヨ。知り合いじゃないネ!!私の唯一無二の親友アルよ!!」
「桜子と言いまぁーす。神楽がお世話になっております」
軽く会釈をすると、銀時も慌てて会釈を返した。
「いやいや、めっちゃお世話してます…はい…」
「銀ちゃん!!私出掛けて来るネ!!桜子行こうアル!!」
「おぉー行って…って桜子さんは置いてけぇぇぇ!!お前一人で行ってこいッ!!」
「えっ…でも…」