金銀花

□綺麗なお姉さんは好きですか?
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依頼が元で知り合った。
優しくて綺麗な年上のお姉さん。
好きになるには当たり前で、憧れは通り越した。
柄にも無く、僕は恋に落ちてしまった。
自分には相応しくない程の綺麗な女性に…。





綺麗なお姉さんは好きですか?





『桜子さんに触るなぁぁぁぁぁぁぁ!!』

そう叫びながら、相手に斬り掛っていったんだ。
無我夢中だった。
桜子さんを助けたい一心で、他には何も考えていなかった位に…。
それほど僕は、桜子さんを好きになってしまったみたいだ。



どうしよう…。



(僕なんかでいいのかな…?)


いつもそんな事を思っている。
こんな綺麗な人、僕には釣り合わない…。
だってそうでしょ?
僕みたいなダメガネ…。
桜子さんには釣り合わないよ…。



でも、桜子さんは笑顔でそれを否定する。
僕じゃないと嫌だって…。



それでも、自信が持てないのは、僕が、自分に自信を持っていないからだ…。



「おーい新八」

「…なんですか?」

「桜子ちゃんが来たぞぉ」

「はぁー…いぃぃえぇぇぇっ!?だッ!!だって…約束の時間には…!!」

新八が慌てふためくと、銀時の背後から少女と言うにはふさわしくない女性が顔を出した。
流れる様なサラサラな黒髪美人。
姉のお妙よりも、年上な女性だ。
何よりも、凄く綺麗だ。

「こんにちは」

凛とした澄んだ声が、万事屋に響いた。
顔を出した女性は、新八が恋に落ちてしまった人。
はにかんだ様な笑顔が、綺麗と言うよりも、可愛かった。

「さ、桜子さん!?約束の時間にはまだ早い…」

慌てふためく新八を可愛いと思った桜子は、思わず口元を隠しながら笑った。
確かに、約束の時間にはまだ一時間も早い。だけど、こうして桜子は万事屋を訪れた。
新八の慌てぶりを見て、桜子は口を開いた。

「早く新八君に会いたくて来ちゃった」

「えっ!?」

桜子の言葉に余計に慌て始めた。
顔を真っ赤にして、心臓が早鐘を打っている。
そんな新八を見て、桜子は可愛いと思いながら、新八を見つめる。
二人を見ていて羨ましくなった銀時は、ニヤニヤしながら新八を肘でつっついた。

「羨ましいねぇー新八君。こんなかっわいぃー子にそんな事言われてぇー…銀さんがあと十歳若ければなぁー…」

腕を組んで、一人しみじみと銀時はつかりはじめた。
銀時にちゃちゃを入れられて、新八は銀時の思う壺。

「んなッ!何言ってんですか!?ぎ、ぎぎッ銀さん!!」

新八をからかって楽しみたいだけな銀時に取っては、予想通りの新八の反応。
それが面白い。
顔を真っ赤にして、動揺しまくりな新八。
だけど、それだけでは飽きたらずに、銀時は再び声を掛けた。

「ねぇ桜子ちゃん。新八なんかより俺にしといた方がいいよぉー?新八より格好いいし、何より…」

「ぎぎ銀さん!!桜子さんに触らないで下さい!!」

桜子の肩を組んで、口説き始めた。でも、新八が慌てて、銀時と桜子の間に割っては入り、桜子を奪還。
言葉を遮られた銀時だが、新八の反応が面白くて、からかうのはやめられない。

「絶対俺の方がいいってぇ。甘味処ならいつでも連れていってあげられるしさぁ。やっぱ俺に」

「無理です」

素早く、しかもきっぱりと言葉を遮られた。
しかも、桜子は満面の笑みを浮かべながら。
桜子の肩には、また銀時に取られない様に、新八の手が沿えられている。
満面の笑みですぱっと言われて、流石の銀時もいじけたい気分になった。

「別にそんなすぱっと言わなくても…」

「無理なものは無理です。それに新八君は格好いいし」

先程、守ってくれた時に、桜子はドキッとしていた。

『桜子さんに触らないで下さい!!』

依頼の時に、狙われていた桜子を守った時の新八に、先程の新八が重なった。

『桜子さんに…触るなぁぁぁぁぁぁ!!』

あの時、新八が守ってくれたから、今の桜子がいる。
助けてくれた強い気持ちに、桜子は惹かれたんだ。
助けてくれた時は、最高に格好良かった。
一生懸命で、覚束無い腕で助けてくれた。
凄く嬉しかったから…。
桜子にとったら、新八以外有り得ないのだ。

「新八君は最高に格好いいです。だから、新八君以外は嫌なんです」

「桜子…さん」
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