金銀花

□泡沫の心
2ページ/3ページ


桜子が必要としているのは銀時だけ。


解らなくていい。


全てを知ろうとは思わない。願ってない。


ただ…傍にいてくれればいい。


もう一人の夜は味わいたくない。


(思い通りに行かない…)


ただ…私だけを見て欲しいだけ。



そう願うのは罪なのですか…?



(手に入る訳ない…思い通りに行く訳ない…)

目を離すとどこかへ行ってしまいそうな人。手に入る訳はない。
誰かの思い通りになる程、簡単な人じゃない。
ふわふわ漂っているような人だから…。
空に浮かぶ雲の様に―…

(留めておくのは無理…?)

手を伸ばしても、するりと抜けて行ってしまう。


私からしてみれば…


手にしても消えてしまうのならば…


私への想いも儚く消えてしまう程ならば…


泡沫の存在…


永遠に傍にいてなんて…





なんて無謀で、遠い願いなのだろう―…






次頁後記
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ