金銀花

□Wonderful days.
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珍しい事もあるんだね。



っていうかそれ…



何が楽しいの?





Wonderful days.





珍しく、銀八に協力すると言い出した高杉に、開いた口が塞がらない。こんな学校行事的なものに全く興味を示さなかったのに…。

停学食らって、学校行事的なものに飢えてるのか?

ちゃんと参加しとけばよかったーって。


いやいや。
それはないな。


多分全部気紛れ。



「んで?何するの?」

「部活紹介であります」

高杉に聞いたつもりが、答えてくれたのは何故か武市。
高杉の背後からにゅっと顔を出してきた。


うわっ…なんか気持ち悪い。


「ぶ、部活紹介…?だってあんたら部活なんて入ってないじゃん」

何となく気味が悪くて、武市から後退る。いつの間にか高杉の前に来てるし…。
あくまで冷静な高杉。なんでこんなに身の危険を感じるの?気のせいなのかなぁ…。

そもそも、放課後無意味に屯ってるだけで、部活らしき物なんてしてない。なのに、どうして部活紹介に協力するなんて言い出したんだろう…。

「体験入学に来ている新入生の期待を裏切らないべく、急遽陶芸部のフリをする事になりましてね」

「陶芸部って…あの陶芸部?」

「他に何があるんだよ」

「な、ないけど…」

「所で桜子さん」

「ぬあぁぁぁ!!」

振り向いたら目の前に武市の顔があり、思わず叫んだ。

この顔目の前とか有り得ないから!!驚き過ぎて心臓がヤバイ!!

「近い近い!!」

「もっと女らしく叫べねぇーのかよ…色気ねぇー」

「うっさい!!」

いきなりあの顔が来たら、色気も何もないよ!!

呆れたのか、溜息を零す高杉。
こっちが溜息つきたいわ!


「スカート、もう少し短い方がいいのでは?」

「ちょっ!!」

スカートをくいっと持ち上げてきた変態武市。
不意を突かれた。顔を真っ赤にしながら変態を追い払う。

「何してんのよ!!」

「いや、桜子さんの白くて程よく細い足がもう少し見えたらいいなと思いましてね」

「ただの変態じゃん!!」

「まぁ、確かに。来島殿とは全く違う色香があるでござるからな。もう少しスカート短い方が萌えるでござるよ」

「そのセクシーな声で何言っちゃってんの!?」

「寧ろ、スカート履かない方がいいんじゃねぇーの?」

「それ、私が変態になるだけだからね!!っつーか高杉はただの馬鹿!!」

「いやいや晋助殿。スカートを履いて、そこから見えそうで見えないチラリズムを堪能するのがいいんでござるよ」

「そんなもんかぁ?」

「万斎殿の言う通りでありますよ。見えそうで見えないチラリズム。だから桜子さん、もう少し短めにすれば私が興奮して…」

「ふざけんなぁー!!また子ぉー…」

もう嫌…。
変態の相手なんてしたくない!

縋るように、また子に助けを求める。同じ女のまた子にしか、助けを求められない。肝心の高杉は我関せずだし…。

っいうか部活紹介は!?

「いい加減にするッス!桜子が可哀相じゃないッスか!それに、桜子はこのままで、充分襲いたくなる足してるッスよ!」

「え?また子…?」


襲いたいって…えぇー…。


ダメだ…。
こいつら全員変態だ…。


「スカート短いのもいいっスけど、あの細さ加減が何とも…」

「おい」

「はい!なんッスか!晋助様」

「桜子行っちまったぜ」

「あり?」


* * *


あの変態馬鹿集団から離れたくて、屋上にやってきた。
どいつもこいつも馬鹿ばっかり。ボケ過ぎだっつーの。新八君の気持ちが少し解った気がした。
何とか柵まで辿り着いたけれど、一気に体の力が抜けてその場に崩れ落ちる。


今頃、部活紹介してるんだろうなぁ…。っていうか大丈夫なんだろうか…あいつ等は…。


散々変態とか馬鹿とか言っておきながらも、やっぱ少し心配。


いやいや!
あんな奴等知るか!
どうせボケる事しかしないんだから放っておけばいいんだ!!


「何よ…もう…」

武市が触って来た時、高杉は何も言わなかった。
少しくらい、怒ったりしてくれるかと思ったのに…。


変な期待を勝手にして、勝手に落ち込んでるだけ。


そんなの解ってる。
自分が勝手にしてるだけだって。だけど、やっぱ少しくらいは期待しちゃうじゃん…。


小さい頃から、高杉と一緒にいた。所謂幼馴染みって関係。
だけど、雰囲気に流されて何度か体を重ねた事はある。それでも、恋人って関係には曖昧過ぎて、幼馴染みという関係の方が濃い。


でも、あいつは絶対に気付いている筈。勘は鋭い方だから、気付いているけど敢えて言わないだけ。
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