金銀花

□アナログスティックサウンド
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全てが格好いいとか。



そんなんどうでもいい…。





アナログスティックサウンド





アナログスティックを得体の知れないドライバーに変えられて、やさぐれている銀時の元を訪れた桜子。あまりのやさぐれ具合に、呆れながらため息を吐く。

「やさぐれたって仕方ないでしょ」

桜子のあまりにも冷たい言葉に、銀時は泣きながら言い返す。

相当悔しくて悲しくて、殺気立ったらしい。今の銀時なら、真剣を手に、無差別に天人殺りかねないよ。だって、若干昔の目に戻ってるし。

「お前はいいのかよ!!桜子の大好きな俺のアナログスティックがお釈迦になったんだよ!!困るのは桜子なんだからな!!」

思わず赤面する桜子。
子供の前で誤解を招く言い方は辞めて欲しい。まぁ多分、そんな配慮も出来ない程、今の銀時は追い込まれているらしい。

「大好きとか言わないでよ!!ってか別に好きじゃないし!!っていうか、銀ちゃんのアナログスティックは一本しかないけど、他の男性にも付いてるから、私は困らない」

「何堂々と浮気宣言してんだ!!そんな事したらホント許さねぇーからなぁ!!っていうかあれだ……ホントにしないでください!!お願いします!!」

土下座して頼み込む銀時。

本気のわけないのに…。
かなり必死なんだな…。

浮気なんてするわけ無い。
昔から銀時一途だし、他の男には興味すら湧かない。それなのに、浮気なんて出来るわけが無い。
例え、アナログスティックをお釈迦にされても、離れる気は一切無い。

「しないわよ…。ただの冗談じゃない…」

「本当だな」

「疑り深いわね…。本当よ」

「本当だな!桜子が浮気したら、浮気相手真っ先に殺りに行くからな!」

「本当」

「本当だな!」

「あんまりしつこいと浮気するわよ」

「信じます!!桜子様を信じまーす!!」

再び土下座をしながら誓う銀時。
浮気をするつもりは微塵もない。だけど、あまりにしつこいと魔が差して来てしまう。まぁ、浮気をする相手もいないのだけど。

ずっと、銀時一筋。これからだって、気持ちが動く事はない。

愛されていると実感できて、桜子は少しだけ口元を緩めた。
こんなに必死になって止めようとしてくれるのは、愛されているから。それが嬉しくて、喜ばずにはいられない。しかし、銀時はそんな桜子に気付かず、殺意を剥き出しにしているだけ。

どこの誰なのか…。
新八は指を、神楽は全身をドライバーに変えられてしまった。新八に至っては、特に支障はない気もする。けど、不便といわれれば不便。
ドライバーに変えられてしまった神楽を、少しだけ可愛いと思うも、ことの重大さは変わらない。

一番の問題は銀時。
服を脱がない限りは解らないが、脱いだら一瞬で萎える。
桜子自身、実物を見てないから何とも言えないが、きっと萎えるはず。

嫌いにはならない。
でも、愛しているもの同士、体を重ねたいと思うのは当然で、当たり前の衝動。
しかしこんなんじゃ、満足に桜子と交われない。そんなの、絶対に我慢できない。

「取り敢えず、心当たりがあるなら、行ってくれば?私は此処で、銀ちゃんのアナログスティックの帰り待ってるから」

「よし!ちゃんと待ってろよしっかり待ってろよ!此処から一歩も出ずに待ってろよ!!宇宙人殺りに行って来っから!!」

「行ってらっしゃーい」

家から出るなって…。まだ浮気を疑っているのだろうか…。一々聞くのも面倒臭くなった桜子は、取り敢えず銀時達を見送った。
どうしても、自分の体を取り戻したい。貴重なアナログスティックを取り戻したい。
殺気を放ち、銀時はアナログスティックを変えたまだ見ぬ宇宙人を睨み付ける
執念で、ゲーマー星人を捕まえる事にした三人は、万事屋を後にした。改造されなかった桜子は、「行ってらっしゃーい」と三人を見送る。出て行った後、蓄まっていた洗濯物を干さなくてはならない事に気付き、足早に短い廊下を歩いて行く。

無事に、アナログスティックが帰ってくる事やら…。


* * *


「帰って来て良かったじゃない」

一度は、ドライバーになる事を受け入れるも、さっちゃんの言葉で目が覚めた一同。
無事にゲーマー星人を見付け、各々の体を取り戻した。
若干、神楽のドライバー姿に未練を残し、桜子は笑顔で告げた。
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