よろず夢置き場
□Amante del piu forte nella storia.
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恐怖なんて感じない。
あるのは、貴方への想いだけ…。
Amante del piu forte nella storia.
束の間の休息。
日々の疲れを癒しているボンゴレアジトに、何の前触れもなく緊急通信のベルが鳴り響いた。
いきなりの事に慌てながら、各々の部屋から続々と集まってくる。
「通信です!これは…」
緊張感が辺りを支配する。
通信相手を確認したジャンニーニが、スクリーンに相手を映し出す。それと同時に、いつ聞いても聞き慣れない馬鹿デカい声が、アジト内に響き渡る。
「うお"ぉぉぉぉい!!小僧ども、生きてっかぁー!?」
映し出されたスクリーンにいたのは、かなりデカい態度で構えるスクアーロと、口元に笑みを浮かべているベル。ベルの横から、邪魔くさい蛙も顔を覗かせている。
「えっ!!スクアーロ?これってヴァリアーからの通信!?」
驚く沢田に、ベルはフランを足で退かしながら、相変わらずの口調で口を開いてきた。
蹴られたフランは、「いたっ」とうっすいリアクションをしながら画面から姿を消した。
「どうやら、雑魚も生きてるみてぇーだなぁ」
「あっら、了平ちゃぁーん!!」
ルッスーリアがハートを飛び散らかせながら了平に挨拶。仕舞には、投げキッスまで飛ばしてくる始末。了平以外は、ルッスの求愛にどん引きだったが、鈍いのか何なのか、了平は全く動じていない。
画面から姿を消したフランが、再び画面の隅に戻ってきた。
「おぉ!生きておったのか!」
言葉を返す了平に、ルッスは未だに投げキッスを繰り返す。
その横で、静かにフランが「キモ…」と呟いた言葉を、ボンゴレ達は聞き逃さなかった。だって今、フランと同じ気持ちだから。
「ヴァリアー不死身だしー」
「ま、主にボスだけですけどねー」
「お前もな」
そう言ってベルはフランの蛙にナイフを突き刺す。
確かにこいつらは殺しても死ななそう。
ボンゴレ最強の独立暗殺部隊は、十年後益々貫禄を付けていた。大人の魅力というのもあるんだろう。凄味をまして、より一層逞しく感じた。
似てもにつかわない和やかな空気にスクアーロが喝を入れる。
「ただ、挨拶しに通信を入れた訳じゃねぇー!!いいかお前等こ」
言い掛けて、スクアーロは口を止めた。それと同時に、背後から聞き慣れない声が聞こえてきたからだ。
「いい加減離してよ」
「誰が離すか」
ザンザスと、誰か解らない話し声が聞こえた。誰かは解らないけれど、明らかに女性の声。
画面には映っていないが、ツナ達にもザンザスの声はちゃんと聞こえている。
「女性の声…?」
かなり、いや相当ヴァリアーのアジトには相応しくない。
聞き間違いかと思うが、獄寺達にもしっかりと聞こえていたらしく、不思議そうな表情を浮かべている。
女性が入れる様な部隊じゃない。それ故に、女性がいるとしたら、人質…?
でもそんな事、怖くて聞ける訳が無い。けれど人質にしては、会話の仕方からして、距離が近い気がする。
「気にするな。いつもの事だから。それでだなぁー」
当たり前のように話を続けようとするが、ザンザスの行為は通信中なんて関係ない。
いや、通信中だけじゃなくて、場所も関係ない。欲望に忠実に生きている男。だからこそ、暗殺部隊のボスが勤まるのかも知れない。
同じ隊員からしたら、ただの我儘にしか見えないけどね。
「ちょっ!どこ触ってんのよ!」
「いいじゃねぇか。減るもんじゃねぇーし」
「やっ!ちょっあっ…」
甘い声を出し始めた女性に、沢田達は一気に顔を赤く染めていく。
話をさせないザンザスに、スクアーロがとうとうブチ切れた。
「うお"ぉぉぉぉぉい!!クソボスゥー!!いちゃつくなら他の部屋でしやがれ!!話に集中できねぇーんだよ!!」
いつもの、耳をつんざく様な馬鹿デカい叫び声をあげる。
通信相手の沢田達はあまりの怒声に耳を塞いだ。しかし、怒り狂うスクアーロとは反対に冷静なザンザスの声が聞こえてきた。
「うるせークソドカスが。嫌ならお前等が出ていけ」
王様のようなザンザスの態度に、スクアーロは血管一本確実に切れたような…。いつも怒っているから、あまり変わらない気もする。
あまりのムカつきっぷりに、椅子を飛び越えて反撃しにいく。
「なんだとー!!桜子だって嫌がってんだろ!!」
二人が言い合っている内に、スクアーロが座っていた場所をルッスが占拠。一人分開いたからと、ベルに手招きをし、フランを端っこに入れてあげている。
「うるせぇー。自分の女どうしようがてめぇーの勝手だろーが」
「いつまで触ってんのよ!!」
暴れるが、ザンザスは桜子をきつく抱き締めていて放そうとしない。
椅子の向こうに何と無く見えるザンザンと、抱き締められているらしき人。
通信映像が小さいから、腰の辺りしか見えない。スクアーロの腰も、少しだけ見える。
「だからってここでいちゃつく事ねぇーだろーが!!話ができねぇー!!」
「うるせぇー」
「やっ…あん…」