よろず夢置き場

□ファンキーモンキーベイビィ+破天荒な現役編+
2ページ/10ページ


「うっせぇー!!ウチのトップがてめぇーらに負ける訳ねぇーだろ!!」

「ウチのトップは無敵だ!!」

「そんでもって不死身だぁー!」

「えっ…?あたし化け物じゃねぇーよ?」

こいつら…、あたしの事化け物か何かと勘違いしてねぇか…?
あくまで、ちょっと喧嘩が強いだけの普通の女の子ですけども…?

あっ…。
そうだよね…。
こいつらが、あたしの事を普通なんて思う訳ないか…。

あたしが唖然としていたら、舎弟に腕を思い切り引っ張られた。

「今行くからな!!」

「えっ!?ちょっと待てよ!!」

「ウチ等が、最強の不良だって事を思い知らせてやりましょ!!」

超目がキラキラしてんですけどぉー!!やる気満々だよ!!
えっ…コレ…喧嘩しなくちゃ駄目な雰囲気じゃねぇ?
っていうか、トップであるあたしの意見ひとっこともきかねぇーってどーいう事!?

めんどくさい!
果てしなくめんどくさい!


だけど、売られた喧嘩を買わないで、逃げたと思われるのもめんどくさい。
逃げて、奴等が調子に乗ってしまう事もめんどくさい。

ウチ等に勝てると思っている他校の連中の鼻をあかしてやろうじゃない。
誰も盾突く気になれない程の力があるって、見せ付けてやろうじゃない。

この際だから、調度いい機会だ。
黒曜中の不良集団には、どうあがいても勝てないって事を、思い知らせてやる!

(やっぱ…あたしは不良だ…)

舎弟に手を引かれながら、そう思い知らされて、思わず笑ってしまった。

喧嘩が出来る。
そう思ったら、ウキウキさえしてきた。さっきまで、めんどくさいと思っていたのが嘘の様だ。

もう、諦めるしかない。
こうなったら、逃げられない。
売られた喧嘩は、買うしかない。

けど…。


パン…食べたかったなぁ…。


(いつ食えるんだろう…)


…なんて思っていたら、結局パンは食えないし、喧嘩には見事圧勝しちゃうし、むっくんには怒られるし…。
そんでもって、そんな事があって今に至る。

「結局、パンはいつ食べれるかって事ですよね」

「違わないけど違うよ!!結局、他校を一校潰したって事!!」

「どうでもいいですよ」

「むっくん酷い!!薄情者!!」

「なんとでも言いなさい」

相変わらず、むっくんはあたしに冷たい。っというか厳しい。
やっぱり、不良なあたしは嫌いなんかなぁ…。


って!!
あたし今何考えた!?
これじゃぁまるで、むっくんに好かれたいみたいじゃん!!


んな事ないないないない…。
あたしが好きなのは、仲間と喧嘩なんだから!!
むっくんが好きなんて有り得ない有り得ない…。


あたしが、一生懸命自分に言い聞かせていたら、廊下が騒がしいのに気が付いた。
凄い勢いで走ってくる足音に、あたしは何となく誰かは解った。
こんな慌ただしい足音、あいつ等しかいない。

これ以上、 なんとなく一緒に居たくないから、こいつらの登場はかつてない程に嬉しい。

「トップー!!!」

「ナイスお前等!!!」

「祝杯あげましょー!!」

「おっ!いいねぇ!!行くぞぉー!!あげるぞぉー!!」

「あっ、ちょっと桜子さん!」

むっくんの制止の声を聞こえないフリをして払い、舎弟どもを連れて行く。
今のあたしは、こいつらといる方が楽しいから…。
だから、誰かを好きとか、誰か一人が大切かなんて考えられない。
恋愛なんて、今のあたしには考えられない。
まぁ、好きな人なんていないから、恋愛について考える必要もないけどね。


まぁ取り敢えず今は…。


「祝杯だぁー!!」

廊下に、あたしの声が響き渡る。
他校を潰したウチ等は、勝利を噛み締めないと。
喧嘩に勝ったら、祝勝会を上げると言うのがウチ等の決まり。
まぁ、あたしが勝手に決めたんだけどね。

「全く…仕方のない子ですね」

あたしが教室を去った後、むっくんが、そう呟いた事なんて、あたしは知る由もなかった…。


* * *


「えっ…何コレ…」

屋上にて、祝勝会を開催する直前にあたしが見た物は、目の前に山積みにされたパンだった。
購買のパン、全部買い占めて来たのかよ…。

「何言ってんですかトップ!!祝勝会ですよ!!」

「や…それは解るけどさ…」

「桜子さんがお昼食い損ねたの知って、皆が用意してくれたんですよ」

「水上…」

そう言って来たのは、ウチのNo.2の水上東吾。
こいつ、強いけど変態で困る。普段クールに振る舞ってるけど、考えてる事はエロい事ばかり。
故にあたしは、こいつの事はあんまり相手にしない。喧嘩の時は頼りになるけどね。

「トップ!!今日はお疲れ様でした!!」

一斉に、あたしに一礼をしてくる。
今のあたしには、最高の持て成しだよ…。

「お前等ぁ…」

こいつら…。
あたしの為に…ッ!!

ヤバ…。超泣けてくる。
こいつら…、最高の仲間だよ!!

「トップ、思う存分食べて下さい!!」

「すまねぇな…」

こんなに優しい奴等を仲間に持てて、あたしは幸せだなぁ。
もう、お前等最高だよ!!

でもなお前等…。

(こんなに食えねぇぞッ☆)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ