よろず夢置き場

□Happy Life, FOREVER!
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貴方といると、こんなにも幸せ。





怖いくらいの幸せってやつかなぁ…?





Happy Life, FOREVER!





「なんでいっつもいっつも俺なんだよぉー!!」

愚痴を叫びながら歩く沢田を、宥める様に後ろを着いてくる獄寺。そして、沢田の横で終始笑顔を浮かべている山本。
何かと問題を起こしている三人。まぁ、殆どがリボーンと獄寺のせいなのだが…。とにかく、問題行動の尽きない三人は、いつも罰として、教師のやりたくない仕事を押し付けられている。教師にとっては、かなり好都合だったりするのだが、これは正真正銘の罰。だから、教師も堂々と言える。
その教師のやりたくない仕事を果たす為に、沢田一行はある場所へと向かっている最中。

「十代目にしか任せられない仕事なんですよ!」

瞳を輝かせながら、自信に満ちた笑顔で、獄寺は掠ってもいない事を口にした。
決して、沢田にしか任せられない仕事なんかじゃない。そして、罰と称して押し付けられただけ。
いつも沢田に押し付けられているし、相手は並盛最強の人。獄寺は勘繰ってそう思ったのだが、全く持って合っていない。
沢田を最強と思っている獄寺にとったら、素晴らしい思惑なんだと、勝手に思っている。
沢田は獄寺の相手が面倒臭くなり、苦笑いで返す事にした。

「そ、それはないね」

「いいや!!十代目になら有り得ます!!何てったって十代目は最強ですから!あんな奴に負けないと思っての事に違いありません!!」

「だからそれはないって」

「獄寺おもしれぇーのなぁ」

あっさりと沢田に言われてしまい、獄寺は自分の考えが間違っているのだと頭を垂れてしまう。
そんなプラス思考の獄寺を、山本は独特の感性で面白いと思ったらしい。
けれど、沢田の言葉に落ち込んでいる獄寺に、山本の声は聞こえていない。
そんな風に賑やかに歩いていたら、いつの間にか目的の場所に到着していた。
恐怖に戦く体。逃げたい気持ちを押さえながら、沢田は扉の前に立つ。
山本と獄寺がいるから心強いが、一人なら確実に逃げている状況。
扉の前には、珍しく見張りは居なく、中からも静けさだけが伺えた。何だか心なしか、暖かい空気も感じる気がする応接室。段々と、恐怖が遠退いていく。怖いけれど、今日はいつもよりも恐怖に震えない。不思議と、安心する様な気さえしてきた。

「早く済ませて帰りましょう」

「そ、そうだね…」

(入っちゃいけない様な気がするのは気のせいかなぁ…)

入っちゃいけない様な気がするが、用事を済ませなくては家に帰れない。
沢田は気のせいなんだと思い、中の人物に声を掛ける。

「雲雀さん、いらっしゃいますか?」

声を掛けるも、雲雀の声は疎か、中からは物音一つさえも聞こえない。
暫く反応を待つが、やはり聞こえない。

「いないのかなぁ…」

巡回に行っているかも知れない。沢田はそう思い、胸を撫で下ろした。
「居なかったです」と言えば、教師だって探し出して渡せまでなんて言わないだろう。
しかし、沢田が呟いた直後に、続いて獄寺が扉を叩きながら叫び始めた。

「雲雀!!いるんなら早く出てこい!!」

「ちょっと獄寺君!!」

なるべく、雲雀の前では余計な事はして欲しくない沢田は、獄寺を止める様な声を上げた。しかし獄寺は、「自分にお任せを!!」と言いたげな笑顔を浮かべている。
それ以上何も言えない沢田の顔からは、血の気が引いていく。
こんな所で騒いだら、確実に咬み殺されるに決まっている。沢田は覚悟を決めて、中の反応を待つ。けれど、それでも雲雀は反応を示さない。
確実にいないのだろうと思い、沢田は胸を撫で下ろし、帰る体制に入った。
しかし、獄寺はもう一度だけ声をあげて、しかも扉を思い切り叩き始めた。

「おい雲雀!!」

騒がしいけれど、雲雀は中にはいない。そう結論づけた沢田は、怖がる事なく獄寺に声を掛けようとした。
しかし、掛けようとしただけで、言葉を口には出来なかった。
扉が勢い良く開き、中にはいないと思っていた人物が、かなりの怒りを携えて三人を睨み付けてきた。

「君達…煩いよ…」

かなりの低い声に、確実に怒っているのだと解った沢田は、恐怖で逃げる事すらままならない。
獄寺は雲雀に負けまいと、強がりを見せる。
山本は相変わらず笑っている。

「てめぇが早く出ねぇのがわりぃんだろーが!」

「聞こえなかったの…?僕は煩いって言ったんだけど」

獄寺の反論の声さえも、雲雀には耳障りにしか聞こえない。
いつもなら此処で、この三人組の群れをトンファーで咬み殺している所。しかし、今は咬み殺したいけれど、騒音を立てる気がない雲雀は、睨みだけで三人を脅している。
なるべくなら、乱闘を起こさずに今すぐ帰って欲しいのだ。
らしくない。だけど、今はそうしなくてはいけない状況なんだ。

「あ、あの雲雀さん…これ…先生から頼まれまして…」

恐怖に震える足を、漸くその場に踏み止まらせながら、沢田は頼まれた書類を、雲雀に差し出した。
風紀委員の大事な書類らしく、今回の罰はこれを渡して来いと言われたのだ。書類さえ渡せば、自分の罰は終り。だから、早く渡して帰りたかったのだ。
しかし、書類を差し出し、雲雀が受け取った瞬間、沢田はいつもと違う事に気が付いた。
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