よろず夢置き場
□雲雀の日常応接室事情〜強さの秘密は?〜
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『群れすぎだから咬み殺してたよ。しかも規律守ってなかったしね』
『あんまり…無茶しないでね。いくら恭弥が強いからって…』
『僕の心配するなんて、桜子くらいしかいないよ』
『あ、当たり前でしょ』
『嬉しいけどね』
これって明らかに恋人同士の会話じゃん!!
明らかに聞いちゃいけない会話じゃん!!
っていうか、これ聞かせて何になるんだよ!!
これ、ただ羨ましいだけだよ!
リボーンに視線を向けると、ぬけぬけと爆睡していた。
リボーン…自分から提案しておいてぇー!けど起こすと痛い目に合うから起こせない俺って…。情けなさ過ぎ…。
『きょ、恭弥ッ!?』
いきなり聞こえてきた神崎さんの声に、驚いて耳を傾けた。
声だけだから、何が起きたのか全く解らない。
けど、声からして慌てている様子だ。
『なんの為に二人になったと思ってるの?』
『だっ…だって…』
『今更恥ずかしがられても、ますます虐めたくなるだけだよ』
『やっ…』
『逃がさないよ』
『きょっ…やぁっ!』
あれ?
この展開ヤバくないか?
だって、明らかに怪しい雰囲気だよ?
このまま聞いてていいの!?
「ね、ねぇ…山本…獄寺君…」
「あぁ…」
「ただならぬ…雰囲気ッスね…」
聞いていていいの?
でも、普通は聞いちゃいけないよね!?
でも…。
『やぁっ…あっ…はっ…』
「だぁぁぁぁー!!」
「ま、マジでか…?」
「雲雀のヤロー!!!」
やっぱりそう来るんだねぇー!
風紀にうるさい人が一番風紀乱してるじゃぁぁぁん!!
っていうかこれってヤバいじゃん!すごいヤバい展開になってんじゃん!!
えっ!?二人はそういう関係で、そういうことをしちゃう仲なのぉぉぉ!!
俺を筆頭に、山本は唖然として、獄寺君は怒りに燃えていた。さり気なく、神崎さんを狙っていたらしい…。
獄寺君…惨敗。
ヤバいと三人で解っていながらも、好奇心からイヤホンが外せない…。
『やぁ…あっ…あぁ…きょー…やぁ…』
『そんな可愛い声で呼ばれたら…手加減できなくなるよ…』
『ひゃぁっ!やぁっ…あん…』
体が固まって動けない。
衝撃のあまり、指が一本も動かない。
「ヒバリって…普段こんなこと…してんだな…」
「あ、あぁ…」
「うあ…わわっ…」
この先はダメ!
聞いてはいけない!
聞いちゃダメだ。
ダメ!
ダメだ。
ダメなんだ。
ダメなのに…。
どうして…?
体が、言うことを聞いてくれない。
だってこれは、明らかに聞いてはいけない声で、これ以上聞いたら、どうにかなってしまいそうで…。でも、勝ちたくないのに好奇心には勝てなくて…。
提案したリボーンは…とチラリと見ると…
「スピー」
まだ寝てるしぃー!!
俺達にどーしろってんだよ!!
けれど、俺達は雲雀さんを甘く見過ぎていたんだ。
こんなこと、雲雀さんなら当たり前だったのに…。
『ねぇ…桜子。声聞かれてるってどんな感じ?』
えっ……?
雲雀さん…今…何て…?
『えっ…聞かれてるって…?』
神崎さんも意味を理解していないらしく、問いかけていた。
聞かれてるって…。
やっぱりこういうことッ!?
「うそぉぉぉぉぉ!!い、今…き…聞かれ…」
『草食動物達が、この部屋に盗聴器仕掛けたみたいだよ。ま、どこにあるかなんて解ってたけどね』
『嘘…』
雲雀さん…。
始めから気がついていてあんなことを…?
っていうか神崎さん…嘘じゃないですすみません!
「な、なぁ、ツナ…俺達大丈夫か?」
「十代目は俺が御守り致します!!」
命の危険を感じた。
だって、イヤホンから聞こえてくる雲雀さんの声は低くて、殺気に満ち溢れていたから。
大丈夫なわけないよ…。これで大丈夫だったら奇跡だよ…。
怖くて、イヤホンが外せない。
『僕の部屋に仕掛けるなんて、いい度胸してるね…。そんなに咬み殺されたいの?』
お、怒ってらっしゃるぅー!
ヤバいよ…これ最悪な展開だよぉー…。
山本と獄寺君さえ、罪悪感に襲われて大人しくしていた。
あんなこと聞いちゃった後で、強気な態度でなんていられない。
いくら強い秘密を探ろうとしたからと言って、いけないことをしたんだ。謝罪の念はある。
するといきなり、今まで寝ていたリボーンが、鼻提灯を消して、口を開いた。
「ちゃおっす。勝手に盗聴して悪かったな」
『赤ん坊…。なんだ君の差し金だったわけだね』
「ごめんなさぁぁぁぁい!!本当にごめんなさい!!って…えっ?それって会話出来るの?」
反射的に、謝らなければならないと、必死で謝った。
二人が普通に会話している。っていうか雲雀さん。さっきの殺気立った声じゃなくなってるし…。
さすがリボーンだな。
リボーンのイヤホンでしか、会話は出来ないみたいだ。
「お前の強さの秘密が知りたいって話になってな」
『僕の強さの秘密?』
「あぁ。なんかねぇのか?」
『桜子。とだけ言って置こうかな』
「女…?」
『意味は自分達で考えなよ。今日は赤ん坊に免じて、許してあげるよ。でも次やったら、原型留めないくらいにグチャグチャに咬み殺すからね』
雲雀さんは、そう言い残すと、交信を絶った。
どうやら、盗聴器を破壊してしまったらしい。
良かった…。なんとか無事に生還できた。
っていうか、こんなこと二度と出来ないのでご安心下さい…。