よろず夢置き場

□雲雀の日常応接室事情〜強さの秘密は?〜
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「つーことで、応接室に盗聴器を仕掛けて置いたぞ」

「何してくれてんだよぉー!!」

リボーンの下らない思い付きの所為で、俺はまた、命の危険に晒されつつあった。





雲雀の日常応接室事情〜強さの秘密は?〜





事の発端は、俺が何気なく言った言葉から始まった。
たまたま、窓の外に雲雀さんを発見した。その雲雀さんが、たまたま不良を締め上げていた最中だった。怖くなってすぐに視線を逸らしたけど、やっぱ少し気になって、またチラリと窓の外を見たんだ。
何時の間にか締め上げは終わっていた。倒れている不良が数人。しかもその人数を確認したら、五人もいた。五対一で、雲雀さん圧勝。傷一つ負っていないだろう。
ただ、ほんの少し気になって、自然と口からこぼれたんだ。

「雲雀さんって…何であんなに強いんだろう」

そう言っただけ。
この一言が、全ての始まりだった。
俺の言葉に、山本が同意して、獄寺君は悪態をついてきた。
そしてリボーンが、恐ろしいことを口にしたんだ。

「なら、調べてみるか?雲雀の強さの秘密をな」

そんなの調べなくていいのに、獄寺君と山本が同意してしまった。
そして、今に至る。というわけだ。
盗聴器なんて仕掛けたこと知られたら、俺達は確実に殺されてしまう…。

まだ死にたくないよぉー!!

よしっ!
こうなったら止めるしかない!

「ねぇやっぱり辞めようよ…。こんなこと良くないって!それにプライバシーの侵害だよ?」

「大丈夫っスよ!十代目。奴にプライバシーなんてありませんから」

「いやあるから!普通にあるから!」

「ツナは知りたくねぇのか?ヒバリの強さの秘密をさ」

「いや、知りたいけどさぁ…」

「ならいいじゃねぇか。ちょっとだけ。なっ!」

山本にそう言われると、不思議とまぁいっか!と思えて来るから不思議だよなぁ。
差し出されたイヤホンを渋々受け取り、俺は付けようかどうしようか未だに悩んだ。
いくら雲雀さんでも、盗聴なんて嫌だろうな…。
でも、リボーンのこと気に入っているみたいだから、リボーンが関わっていると解れば許してくれるかもしれない。
なんて、そんな軽い考えを抱き始めた。
リボーンはリボーンで、「ファミリーのことを知るのも、ボスの勤めだぞ」なんて言ってるし…。
あぁ…。気付かれたらどうしよう…。

殺されませんように…。

山本と獄寺君はイヤホンを装着済み。真剣に、耳を澄ませていた。
すると、獄寺君が先に反応を示した。

「十代目!何か聞こえますよ!」

「えっ!?」

釣られて、慌ててイヤホンを装着すると、雲雀さんではなくて、女の子の声が聞こえてきた。

『書類、ここに置いとくね』

『うん』

淡々とした会話。
この女の子の声は、書記の神崎さんの声だ。
いつも雲雀さんと一緒にいる。
俺の横では、獄寺君は無言で話を聞いていて、山本は感歎の声を上げていた。

「ヒバリの傍に女子なんといたのなぁー」

「山本知らなかったの!?」

「あぁ。全然」

それはそれですごいよ…。
だっていつも一緒にいるのに、目に入らないなんて、ある意味山本すごすぎ。
しかも、神崎さんってめちゃくちゃ綺麗なんだ。目に入らない方が不思議だよ…。

っていうか獄寺君…。真剣に聞きすぎだよ。
本気で、雲雀さんの強さの秘密を探そうとしてるよ…。

『あっ、草壁。ちょっと外に出ててもらえる』

『あっ!はい!』

えっ…。
副委員長追い出しちゃうの?
仕事するから気が散るとか?

『い、委員長…』

なんか神崎さん動揺してる?
いつも一緒にいるけど、やっぱり雲雀さんは怖いのかなぁ…。
いや、だって女の子だしね。男子でさえ怖がっているのに、女の子なら尚更だよね。
そっかそっか。
なんて、納得している事態ではないことに、この後気付かされる。
そして、聞いてはいけないことを、俺達は聞いてしまうんだ。


『二人になってもその呼び方なんだね』

『いや…だって外に草壁いるし…』

『いないよ。今頃、巡回に行ってるよ』


な、なんかただの風紀委員長と書記の会話とは思えないんですけど…。
すごい甘い空気を、感じるんですけど…。
俺だけかなぁ?

っていうかこれって…。
一番聞いちゃいけない人だったんじゃないのか?

「や、山本…獄寺君…?」

窺うように二人を交互に視線を向けると、やはり獄寺君は真剣そのもの。
山本はというと、何故かおもしれぇーなんて言いながら笑ってるし…。

ど、どーしよう…。
俺達生きて帰れるよねっ!?

すごい不安なんですけど…。
って言いつつ、二人が気になってイヤホンを外せずにいる俺って…。
そして、再び聞こえてきた声に、耳を傾けてしまう。


『恭弥、さっき三年の不良締めてたでしょ?』


えっ…。
神崎さんって雲雀さんのこと名前で呼んで…?
やっぱりそういう関係なんだぁー!!これって明らかに聞いちゃいけない会話じゃん!
山本もさすがに気付いたらしくて、笑うのを辞めていた。
獄寺君は……相変わらず真剣です。
呆れながら視線を逸らして、ついまた会話に意識が行ってしまう。
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